在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会ニュースレター 「未来への架け橋」 NO.85 (2016.9.24発行) |
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ヤスクニキャンドル行動後の |
遺骨収集推進法に基づくDNA鑑定を韓国人遺族にも行わせよう! |
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遺骨を家族に返すことを明記した「遺骨収集推進法」を誠実に実行させるために
今年2月18日、津田弥太郎参議院厚労委員会理事の質疑に、塩崎厚労大臣は国会の場で、「遺族に国境がないというのはその通り、・・韓国側から具体的提案があれば検討する」旨答弁した。これは今までの「現地で韓国人とわかれば(不可能なこと)韓国政府に伝えて協議する」というゼロ回答の繰り返しと比べ、大きく前進した。韓国人遺族にとって、闘い続ければ韓国人戦没者遺骨返還の道が切り開かれる局面に来ている。 ハンギョレや、聯合通信の報道に続き、8月16日東亜日報が遺骨問題を大きく報じた。成立した遺骨収集推進法が「我が国」(日本)の遺骨に限定していることを批判しつつ、この鑑定への参加を韓国人遺族のもとに遺骨が戻る最後の機会とし韓国政府に機敏な対応を求めている。韓国で強制連行遺族の遺伝子バンクを作る予算が計上され、9月からの国会で審議が始まることも報道している。戦没者遺族の遺伝子バンク(DNA鑑定に備え、遺族の唾液などの検体を冷凍保存する)の予算計上は、日本国会での前進を背景としていることは明らかだ。韓国世論は塩崎答弁の実行を日韓両政府に求めている。 沖縄戦遺族に鑑定呼びかけ始まる なぜ朝鮮人最大部隊(日本人含む)特別水上勤務隊遺族は鑑定呼びかけから排除されているのか?
沖縄戦に動員された朝鮮人の最大部隊は、陸軍特別水上勤務隊(101〜104中隊、約2850名:以下特水勤と記す)である。荷役や兵站の仕事をしてきた部隊であり、GUNGUN原告の権水清(クォン・スチョン)さんのお父さんもこの104中隊に属していた。太平洋戦争犠牲者補償推進協議会の遺族関係者のほとんどがこの部隊に所属する。この4地域に関連する部隊から特水勤が排除されていることが分かった。我々の調査で、特水勤102と104中隊が4地域中、「幸地、平川」2地域の戦闘に参加していることが分かったのだ。「伊原、真壁」などで切込み隊として102・104中隊が参加したという明確な記録や、「喜屋武」で11人が死亡したと留守名簿に記載されているが、このような地域は後回しの第2次呼びかけとされている。そして第1次呼びかけで、実質的に朝鮮人部隊を排除している。 沖縄戦朝鮮人犠牲者はほとんどが行方不明扱い。最後まで探す責任が日本政府にはある 10月12日第3回厚労省交渉は、排除を許すか否か正念場の闘いに また沖縄戦での朝鮮人戦没者の特徴は、軍の記録でほとんどが行方不明扱いになっていることである。軍の記録である留守名簿には、行方不明の「不」や「死亡推定」の記載がある。しかし正式には死亡の認定がされていない。このような韓国人戦没者を鑑定事業から排除することを許してはならない。遺族が「父が兄が、帰っていない」という訴えを遺族がしているならば、DNA鑑定の調査に加えなければならないのは誰が聞いてもわかる話である。死んで記録さえつけないまま放置し、日本人と同じ扱いをしなかったことこそが問われる問題である。特水勤部隊のDNA鑑定の呼びかけからの排除問題は、日本人が部隊にいる以上言い逃れできない。またこの問題は、激烈な沖縄戦の実相を伝える闘いと強力に結びついて広がっていく運動になるだろう。 第1次呼びかけからなぜ朝鮮人部隊が排除さえているか、また行方不明者扱いの韓国人戦没者にどういう対応をするのか。太平洋戦争犠牲者補償推進協議会は、この2つの問題を中心に10月12日第3回韓国人遺骨問題厚労省交渉を行う(参議院会館地下B104午後4時〜)。塩崎厚労大臣の答弁を誠実に実行させるか、または実質的排除を許すか、正念場の交渉になる。日韓の世論に大きく訴えていく。 第7次国会行動(9月)成功、ガマフヤー具志堅さん遺族会会長と会う 沖縄戦の遺骨を掘り続けるガマフヤー(洞窟を掘る人)代表、具志堅隆松さんとともに第7次国会行動(9月12〜13日)を成功させた。今回の行動で、具志堅さんは遺族会会長(水落衆議院議員: 遺骨収集推進法自民党責任者)と面談した。2度目の面談となる。会長からは、厚労省に対し、発掘現場からは歯のついた遺骨は少なく手足も鑑定するように伝えたとのこと。さらに、参議院厚労委員会で報告された、朝鮮戦争での遺骨の分析資料(四肢骨の方が歯よりもDNAが採れる)や沖縄県議会決議の案文も具志堅さんから会長に説明が行われた。遺族の鑑定も高齢化のため時間がないことが訴えられ会長からも同感だとの意見が出た。戦没者のため遺族のために35年間遺骨を堀り続けた具志堅さんの訴えに、会長と意見が違う場面は全くなかった。
法施行半年の10月13日、ガマフヤー主催「戦没者遺骨返還のあり方を考える国会内集会」を 成功させよう!(12時30分〜13時30分参議院会館地下B104) 「戦没者遺骨返還のあり方を考える国会内集会」集会がガマフヤーから呼びかけられている。この集会は日本人の遺骨収集の基準作りに大きく影響する集会となる。目的は何よりも沖縄戦の遺族(沖縄・北海道・愛知など)にDNA鑑定の呼びかけが始まったことを全国の遺族に知らせ関心を高めてもらうことである。そのために厚労省から法施行半年の事業報告も受ける。マスコミはフルオープンにし、多くの国会議員に参加を呼びかける。 遺族はこの事業が始まったことをほとんど知らない、沖縄以外ほとんど報道されていないのが現状だ。南方の戦没者遺族に早く自分たちも始めてほしいと声をあげてもらいたい。 私たちがお手伝いした兵庫県西宮市での遺族が主催するニューギニア写真展(9月15日〜18日)でも、沖縄戦遺族に鑑定呼びかけが始まっていることをニューギニア戦遺族に伝えると、「自分で鑑定に手をあげるの?厚労省から手紙が来るならそれはやりやすい」「遺族会のニュースに出すべきだ。みんな知らない」「1人の費用が4万円ぐらいなら安い、そういう点を知らせるべき」などいろいろな声が上がって来ました。また、遺族のみなさんから「今までは自分たちが遺骨を探し厚労省が受け取るというスタイル。10年の事業で本当に厚労省が遺骨収集をやりきれるのか心配だ」という声もお聞きした。日本の遺族とともにこの運動を進めてきた私たちの取り組みを、沖縄から次は全国の遺族に広め訴えていく時が来た。遺族が、遺骨が家族のもとに帰る事業が始まったことを知ることが、必ず大きなうねりになっていくはずだ。法施行半年、重要なタイミングで、多くの国会議員と日本中の遺族に知らせる集会にしたい。 ぜひ多くの皆様に、10月12日厚労省交渉とともに、13日遺骨集会への参加をお願いしたい。 両日(いずれかでも結構です)手助けいただけるボランテアスタッフも募集します。 連絡お待ちしています。(連絡先 古川携帯 090−1135−1488)
東亜日報の記事より(8月16日 一部抜粋) 自国民だけ取りまとめる日本・・韓国人犠牲者の名は永遠に葬られる危機 沖縄地域で1万名の死亡推定 名前の確認447名に過ぎず 日本2025年までに遺伝子データベース仕上げ、韓国人は対象から初めから除外 遺骨身元確認できず合葬される憂慮 韓国も遺族データベース化構築急がねば 朝鮮人遺骨奉還などと関連して非常な関心を引いているのが4月施行した‘戦没者の遺骨収集に関する法律’(遺骨収集法)だ。 戦後80年をむかえる2025年まで収拾された戦死者遺骨に対する遺伝子(DNA)データベースを構築して事実上遺骨問題を終える内容だ。沖縄県もこの法の施行に合わせて2014年7月から収拾遺骨に対する火葬を中断した状態だ。平和記念公園内の‘戦没者遺骨収集情報センター’は2014年前後で保管した690余の遺骨中DNA検査対象87を分類した。特に浦添市、前田小学校近隣現場は厚生労働省が直接調査するなど大規模現場で、今後朝鮮人遺骨が出てくる可能性が高いもので展望される。しかし遺骨収集法は日本では‘我が国(日本)戦没者遺骨’で対象を限定した。 DNA検査をした後日本人遺族のうち一致する人が無くても朝鮮人など外国人遺族とはDNA対照を確認する道をふさいでいる状況だ。 太平洋戦争補償推進協議会など韓国遺族団体は韓半島出身犠牲者の身元把握のための遺族DNA検査を要請したが日本政府は“韓国政府からさらに具体的な提案があれば(日本)政府内部で適切な対応を検討すること”というぬるい反応だけが見える。韓国政府では現在まで公式的な対応がない。行政自治部傘下の過去事関連業務支援団では韓国遺族DNAデータベース構築と関連した1次予算3億ウォンを申し込んだ後、9月の審議を待っている状況だ。カン・ジェスク共同代表は“法案は問題点があるがDNA検査を実施するなど朝鮮人遺骨を家族に送り返す最後の機会になりうる。この機会を逃せば事実上合葬状態で火葬されるので遺骨は永久に故国に戻ることはできない”として“韓国政府次元で遺族データベースを近日中に構築して法施行関連日本政府の行動に機敏に対応しなければならない。と言った。 |
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『「終戦、その後の写真展」〜ニューギニアから〜』報告(木村)
17日には横山さんのお話しの時間を設けた。横山さんは予定の3時間も前に会場に到着、会場も参加者でいっぱいになった。横山さんは、挨拶とパネルの紹介の後、これまで胸にためてきた思いを一気に吐き出すように話された。
期間中、来場者の話はどれも重いものだった。胸にお母さまの遺影を抱かれ「母にも見せてやりたいので」と来られた方。「兄が船で南方へ行ったが、そのまま行方不明。どこでどう亡くなったか分からない」と目を潤まされながら話される方。神戸空襲の後、遺体焼却はひどいものだったと話される方。等々‥。福井からはニューギニア生還者の息子さんが、昨年地元の証言集会で語られたお父様の映像を持って来られた。93歳のお父様も来館したいと希望されたそうだ。阪本さん、瀬野尾さんは、こちらから訪ねて行きたいと語り、今回で最後のつもりだった横山さんも、福井での開催に意気込んでおられた。 今、体験をしたことのない戦前の空気が感じられ、落ち着かない時代であるからこそ、先の戦争の後始末もできていないことを知らせるだけでなく、戦場で何があったのか、戦争とは何かを考える入り口となる写真展だった。 |
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ヤスクニキャンドル行動
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ノー!ハプサ(NO!合祀)第2次訴訟第9回口頭弁論のご案内(山本) |
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遺骨問題対政府交渉(在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会主催) |
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読書案内 神国日本のトンデモ決戦生活 −広告雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか− 図版200点以上で示す笑えるようで笑えない戦時下生活 早川タダノリ著 合同出版 1800円+税 靖国神社は、戦没者の家族の悲しみを喜びに転化させる。靖国信仰のシステムこそ『感情の錬金術』だと高橋哲哉氏は指摘するが、もう一つピンとこない方のために絶好の書だ。早川氏の肩書は、広告の収集、研究家、フリーの編集者。今回も、広告、チラシ、雑誌はどれだけ戦争に奉仕したかという副題を付けている。その時代にメディアはどんなプロパガンダをおこなってきたか、人々は影響を受けたかを追う。 著作では、上半分に実物の広告等をそのまま載せ、下半分にコメントが書かれていて読み易い。「神々しき靖国の社」から始まり、初等教科書の靖国記述、英霊に捧げる作文コンクール、戦争遺児の美談が掲載されている婦人向け雑誌等を紹介。「日本良い国」「称えよ八紘一宇」「すべては勝利のために」「言霊の戦争」と続く。断罪するのでなく淡々と紹介、余計に恐ろしさ、くだらなさ、信じてしまう人々の悲しさが迫る。 近年、「本当はスゴイ日本、日本人」系の出版、TV番組が増えてきている。2006年第一次安倍内閣発足以降、「こんなスゴイものがある日本」だから「日本人としての誇りを持とう」という戦前、戦中のような空気は強まっていると著者は警告しているが、同感である。(大釜) |
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GUNGUNインフォメーション |