在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会ニュースレター 「未来への架け橋」 NO.82 (2015.11.8発行) |
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望郷の丘での合同慰霊祭で |
日韓(韓日)議員連盟の共同声明が実現! |
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日韓・韓日議員連盟合同総会共同声明での
一方9月11日衆議院で、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法案」が全会一致で通過したが、参議院は継続審議となった。法案で「戦没者の遺骨収集」とは「我が国の戦没者」とし、国籍条項を打ち出している。今後の国会で衆議院厚労委員長が参議院厚労委員会に提案説明することとなる。 法案に配慮した?不誠実な厚労省回答 このような動きの中、厚労省が6月22日行われた太平洋補償推進協議会との交渉の結果を10月9日付で文書回答してきた。回答では、「日本政府が行っている遺骨収集帰還事業は海外で戦没した日本人戦没者の遺骨を日本へ送還することを目的として行っているものであり、収容作業の過程において、遺留品等により朝鮮半島出身者と思われる遺骨があった場合は収容せず、現地政府機関に通報の上、適切に対応することとしているところです」として、遺留品が無くても部隊記録等の資料により関係する遺族にDNA鑑定の呼びかけを行うという方向を示しつつ、朝鮮半島出身者はいかにも別だとする文章を示してきた。 交渉では、今回の文書回答を当初,口頭で述べたが、我々は「遺骨と遺族のDNA鑑定での照合をしなければ韓国人であるかわからない」ことを追及した吉田室長は、しどろもどろになりながら何度も我々の追求の正当性を認めざるを得なかった。にもかかわらず、数か月もかけて出してきた文書回答は当初の口頭の回答を文書回答したものであった。つまり、国籍条項の法案の衆議院通過・参議院継続審議確定を待って出されてきたものであるといわざるを得ない。 衆議院での議論について沖縄のことについて少し前進したことがある。名護市にあるキャンプシュワブの米軍基地に大浦崎収容所がある。毎日マラリアで何十人が死に埋葬したという記録がありこれを共産党赤嶺議員が追及した。収容所での死亡は戦没者遺骨と同じであり基地の中であっても政府の責任で調査収容すべきとの発言に塩崎厚労大臣は、情報がある場合は米軍に要請すると答えるなど沖縄問題での前進があった。赤嶺議員には8月3日ガマフヤー具志堅さんと白眞勲議員の要請の後、収容所の遺骨問題をについて、お願いに行き、白眞勲議員をバックアップすると約束いただいていた。 着実に前進している韓国人遺骨問題 参院審議がポイント!
しかし、法案でいくら国籍条項を入れたとしても、遺骨を家族とDNA照合しない限り日本人の遺骨か韓国人の遺骨は分からない。硫黄島ならば死亡した2万人のうち180人の朝鮮人のリストがあり。16万人以上が死んだというニューギニアでは5000人に上る朝鮮・韓国人のリストがある。日本政府が韓国に渡した死亡者のリストは2万1千人に上る。この事実は、無視できないので厚労省交渉で厚労省がしどろもどろになり、我々の指摘の正しさを認めざるを得ないのだ。日韓議員連盟の決議はどの党もこのことに異論をはさめないことを物語っている。よって今問題は衆議院厚生労働委員会において誰もこの問題を指摘しなかったことである。必ずこの問題は参議院で議論すれば一定の解決を見る問題である。「我が国の」というのは旧日本兵のことを含むとの解釈を衆議院厚労委員長からの回答を引き出す方法もある。法案が国籍条項であるということを譲らなくても、遺骨は韓国政府に韓国遺族からのDNA鑑定もしないと焼くことはできないという見解や韓国政府にも呼びかけるという答弁を引き出してもいい。また議論に進展によっては付帯決議とすることもできる。我々が実現した日韓議員連盟の共同声明が今力を持ってくる。参議院議員厚労委員全党にこの問題を訴えていけば必ず道は開ける。我々は、日本人遺族との連帯を掲げ運動を進めてきた。日本人遺族のもとに遺骨を帰す展望さえ切り開いてきた。国籍条項の法案を見て、ここで韓国人のことを議論しない参議院となったならばもう日本はおしまいだ。このことは、心ある議員にならば、また日韓の対立を危惧する議員には必ず通じるはずだ。政治的にも日韓議員連盟決議によって、その発言は可能なはずだ。 すでに、準備は始まっている。10月23日参議院厚労委員会委員に要請活動を開始した。23日には3党の政策秘書の方と会い話をした。今年中に全党の議員に要請に入る。詳細には触れないが、良い反応が来ている。まだ3党との話であるが、この法案に対する我々の態度と考えは党を超えて受け入れられている。また日韓議員連盟の決議は我々の活動に、正当性を与える大きな意味を持っていると感じる。厚労省が自らの保身のために出したひどい文書回答が、逆に我々の主張の正当性を浮き立たせ、世論の反発を浴びることになるだろう。我々は決して後退していないし韓国人遺族、日本人遺族、沖縄の人たちとともに一歩一歩山を登っている。来年の参議院厚労委員会の議論を準備し、この険しい山の4合目5合目に到達していこう |
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強制連行被害者納骨堂の移設先・望郷の丘での慰霊祭、
望郷の丘に眠る全てを対象にした合同慰霊祭が200人で営まれた後、小高い丘の上にある春川からの移設を記録する石碑へ移動。春川から貸し切りバスで参加した太平洋戦争韓国人犠牲者遺族会の20人、ソウルの太平洋戦争被害者補償推進協議会の15人、私たち日本からの参加者4人ほか総勢40人による慰霊祭が営まれた。提訴の頃から春川でお会いする懐かしい方々とも再会を喜び合った。 石碑の前に祭壇を設け、春川から持ってきた果物やお供えを並べ、横断幕や花輪が立てられる。いつもながら遺族会にとって慰霊祭の意味の大きさを感じる。洪英淑(ホン・ヨンスク)会長、春川市、私の挨拶の後、全員がそれぞれの宗教で祈りを捧げた。終了後お弁当を囲む。韓省愚(ハン・ソンウ)副会長が亡くなったお兄さんのことを話してくれる。「兄は徴兵でフィリピンで亡くなったが、出て行く前の晩、私の頭をなでながら寝かしつけてくれたのが忘れられない」と語る。その後全員で記念撮影。 金景錫さんのお墓参り
天安・望郷の丘での慰霊祭の後、私たちはソウルへ戻り、太平洋戦争被害者補償推進協議会の事務所で遺族との交流会を開いた。慰霊祭の会場から三々五々かけつけた遺族は約10人。どの人も父や兄が戦前や戦時中に日本に動員され、その後の詳細がわからない人ばかりである。手分けしてこの間日本で調査してきたことを説明したり、初めての人からは調査してほしい内容の聞き取りを行った。 私は、グングン裁判提訴の頃からの顔なじみである朴進夫(パク・ジンブ)さんと、昨年7月のノーハプサ口頭弁論で来日した朴南順(パク・ナムスン)さんへの説明を行った。 お母さんは日本人の朴進夫さん
この間の調査結果として、(1)記憶にある「フクサマ」が函館の西にかつてあった「福島炭鉱」の可能性があること、(2)福島鉱山はマンガン鉱として東邦電化梶i現在の新日本電工梶jが所有し、襟裳岬手前の様似までの輸送ルートがあったこと、(3)様似までの途中に、「平取」「静内」があること、(4)様似町、平取に当時の「火葬許可」資料が残っていないかを調べる予定であること、などを説明した。韓国側からは「フクサマ」が平取の隣町、穂別「福山」にあった八田炭鉱の可能性があることの指摘を受け、さらに調査していくことになった。
孤島での埋葬は、DNA鑑定を通じて個人特定の可能性が極めて高い。南順さんはノー!ハプサ訴訟の口頭弁論で「わが家には家族墓地があります。ところが父の遺骨も探せていないし、今は靖国神社に合祀されているというので、父の墓地は空のままです。私は私が生きている間に、どんなことをしても父の遺骨を探し出し祀りたいと思います。」と陳述している。
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ノー!ハプサ2次訴訟・第5回口頭弁論報告(山本)
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世界記憶遺産「南京虐殺」「シベリア抑留」登録の意義(中田)
そしてさらに菅官房長官は会見で記者からの質問に答える形で「ユネスコへの拠出金の停止や削減も検討している」と発言、国際機関が自らの思い通りにならないから金で脅すというヤクザまがいの対応に出て、その非常識ぶりを世界に晒しました。 そもそも、記憶遺産の意義についてユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長は「人類の宝である記憶遺産を保存し、人々の認識を高め、アクセスを奨励することは何より重要なことです。記憶遺産の保存は、文化遺産を守り、あらゆる社会のアイデンティティを保つために欠かせません。人類の社会の一員としての私たちを形作っていく力、それが私たちの記憶であり、私たちはその記憶を守っていかなければなりません」と述べています。そしてまさにそのように守っていかなければいけない記憶遺産として、今年登録された中に、反帝国主義、反植民主義、民族自決を掲げ「世界平和と協力の推進に関する宣言」を採択した1955年のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の記録と朝鮮戦争と冷戦によって分断された南北の離散家族を追った1983年の韓国KBS製作の「離散家族を探して」の生放送の記録が含まれています。ちなみに韓国の関係では、1980年の光州の民主化闘争の記録も記憶遺産として2011年に登録されています。 欧米の帝国主義諸国の植民地支配から独立を求めてアジア・アフリカ諸国が民族自決を掲げ「第三世界」として登場し西洋中心の世界史を塗りかえる契機となった記録、差別や抑圧からの解放・民衆弾圧に対する抵抗運動の記録、そして戦争という「絶対悪」が人類にもたらす決して忘れてはならない悲惨な記憶としての「南京虐殺」と「シベリア抑留」、いずれも人類が二度と過ちを繰り返さないために後世に継承していかなければならない貴重な記憶遺産です。 人類がそれを記憶し承継していかなければならない遺産の登録の撤回を求めることこそ「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」とするユネスコの精神に悖る極めて「政治的」な行為であると言わざるを得ません。 |
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読書案内 ものいわぬ人々に −若者を再び戦場に送るな− 塩川正隆 著 朝日新聞出版 1389円+税 私たち、グングン裁判を支援する会は、朝鮮半島から軍人・軍属として徴用され、戦後、日本人にはされた補償は成されず、生死確認・通知もなく、遺骨も届かず、勝手に靖国神社に合祀され憤った韓国人生存者・遺族の訴えを支援するために、2001年結成しました。裁判は、2011年、上告が棄却となりました。しかし、何も解決していません。私たちは、地道に活動を継続していますが、その状況の中で 、塩川正隆さんという心強い存在に出会いました。「筋金入りの超新星」との遭遇でした。
「戦争こそ最大の人権侵害だ」 氏が、著書で何度か語られている言葉です。 ( 大釜) |
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