2024年7月7日

江華島から春川へ  (木村)


 2024年7月のソウル3日目は、関西から参加したメンバーの希望で江華島から春川へ向かった。
 まず江華島へ。李煕子さんが日本陸軍に徴用され亡くなったお父様李思R(イ・サヒョン)さんへの思いと足跡を残すため出身地に2021年6月に建てた追念碑があり訪ねた。李煕子さんに朴南順さんも同行して下さった。民族問題研究所スタッフが早朝から終日運転をして下さり総勢8人の旅だった。
 
  李思Rさんの碑の前で
 この碑は一つの展示館のようである。まず日本、朝鮮半島、中国大陸の地図上に李思Rさんが連行された地が順に記されている。前面石盤には李煕子さんが探し見つけてこられた記録が刻まれている。留守名簿に供託済み、即ち支払われなかった給与が供託されたという記載。もう一つ「靖国合祀済み」という記載。韓国人遺族には死亡さえ知らせず給与を供託し、一方で「靖国合祀」まで行っていたということがわかる。更に靖国神社に問合せ、送られてきた回答書には1959年4月6日に合祀とある。1956年厚労省が都道府県に通達を出し戦没者名簿が靖国神社にあげられたため1957年には47万人が合祀され1986年まで合祀が継続されている。ご存知の通り靖国神社は天皇のために命を捧げた者を賛美する施設であり戦前は陸海軍省の管轄であった。他の記録、兵籍戦時名簿に1944年江華島から連行されたお父様が中国で戦傷死されるまでの経緯が詳細に記録されている。大きな碑の裏に周ると、日帝強制動員の現場を記憶するとある。李煕子さんが碑の前で説明される時に強調されていたが、お父様を追念するに留まらず全ての遺族が共通する思いをここに追念したいという願いが伝わってくる。
 碑の横には 東屋が建てられ、その周りにナツメ、スモモ、ハマナス、梅、柿、小菊、桔梗、鶏頭等の草花も植えられている。家族で集まる場になっていると話された。私たちも東屋で甜瓜とミニトマトをいただいた。その後ヒジャさんお勧めの店で江華島の野菜と魚の美味しいお昼を頂き春川へ。

 春川では洪英淑さんが待っていてくださり、金景錫さんのお墓へ案内してもらった。久しぶりのお墓参りだった。お酒を供え、一人ずつお参りした。納骨堂があったころ、皆で草刈りをして お参りしたこと。地域のサッカーチームとグングンスタッフと参加した若者で試合をした思い出など次々に思い出される。金景錫さんの「ヨクキタネ」という野太い声が聞こえてくるようだった。その後洪さんと夕食を共にして短い時間だったが、久しぶりに顔を合わせて話ができたのは嬉しいひと時だった。ソウルに到着したのは夜。車の移動の間だけが雨という不思議な旅だった。

金景錫さんのお墓詣り