2020年1月21日 「戦没者の遺骨に関する厚労省外務省との意見交換会」を開催(上田)
1月21日、遺骨問題の厚労省・外務省意見交換会が開かれた。衆議院第2国会議員会館100名収容の会場はいっぱいになった。日韓のマスコミは合わせて30名以上。国会議員は近藤昭一議員が紹介議員となり沖縄の議員をはじめ7名が参加した。国会議員の政策秘書の参加も多く参加し熱気あふれる2時間の意見交換会となった。
遺族の声「遺族は焼骨など望んでいない」 また、DNA鑑定を妨げる焼骨のことについても大きな議論になった。硫黄島では1万人の回収した遺骨のうち500体以外のほとんどは焼骨してしまっていることが明らかとなり、韓国のマスコミでも驚きだと報道された。厚労省が焼く理由を「遺族感情」としていることにも、参加した遺族から「遺族はそんなことを望んでいないし、厚労省は遺骨の遺族の承諾を得ていない」という当たり前のことが指摘された。専門家の参加と、沖縄の拠点を置くこと、焼骨反対の遺族の声はマスコミを通じて全国に伝えられた。これほどのマスコミの関心は、ロシア問題(日本人でない骨を焼骨し、持ち帰ったのを長年隠蔽した事件)の真剣な反省を厚労省が行わず、私たちがその解決の方向性を指し示したからである。 タラワ島での遺骨の一体が韓国人と判明したことを認める また、太平洋地域の遺骨ではタラワ島の遺骨について2000名に連絡をし、300名からDNA鑑定の申請があったことや硫黄島でも4月から呼びかけを始めることなども報告。 今回外務省が参加し、米日間で共同鑑定を進めるタラワ島で1体の遺骨が韓国人遺族と合致したことの報告を韓国外務省より受けたことを認めた。沖縄戦韓国人遺族163名が遺骨との照合を韓国政府を通じて要請していることについては、今まで「韓国政府から具体的要請があれば応える」「外交ルートの要請がない」という厚労省の逃げ文句は今回なくなり、「適切に検討する」というものに変わった。また日本外務省も韓国連合ニュースの取材に返還に向けて韓国外交部と引き続き協力する意向を示した。 「骨片でもいいから家族に返して!」李熙子さんと朴南順さん
「息苦しい思いです。2013年14年から要望書を4,5回渡した。しかし、今日の応えの中で私が怒りを抑えることができないのは、ご遺骨を厚労省の専門家でもない職員がゴミの分別みたいに選別しているが、専門家がやるべき仕事でしょ。それをやっていることに怒りを感じる。いまだに基本的な事も始まっていないではないかと思っている。自分の家族のことだと思うなら、こういう風に仕事をするのか考えてみてください。前には韓国の要請があれば応えると言っていたのに、今日は協議中ですという返答。自分の良心に照らして考えてみてください。一つの骨片も青年の時連れて行かれた人の骨片です。家族にとって骨片一つでも待ち焦がれていることを考えてください。戦争責任は取らないといけないでしょう」 また朴南順(パク・ナムスン)さんも続けた。 「重苦しいです。ブラウン島で父は亡くなった。父が42年に動員されブラウン島で亡くなったことを知らずに生きてきた。国家記録員で2005年初めて知った。父がいなくて勉強もできなかったので漢字も読めません。紙は白く字は黒くしか見えない。靖国合祀の判の意味も分かりませんでした。戦争に勝手に連れて行って鉄砲の盾にしておいて、こうやって家族にも知らせず合祀している。漢字も分からない日本語も分からないので、海軍軍属で飛行場の工事をしていて爆撃で死んだと李ヒジャさんに聞いた。私が母のお腹の中にいる時に日本のために父は連れていかれた。皆さんお願いします。ブラウン島で焼骨しないで、私に返してください。私がお祀りするのでお願いします」 日本の多くのマスコミが2人の話を直接聞いたことは大きな意味がある。今回初めてタラワ島で韓国人遺骨が見つかったことが日本のマスコミにより報道された。 私たちの闘いは、もう真ん中どころかあと一歩のところまで来ている。すべての戦争犠牲者と連帯していくことが闘いのカギとなっている。今回の意見交換会は日韓関係の改善に大きな一歩を築いた。 意見交換会での日本人遺族の発言 沖縄戦遺族 「私は少なくとも焼骨について聞かれたことはない。だれの指示で、なぜ焼かなければならないか応えて欲しい。検体を取った残りの骨も焼かないで欲しい。焼骨という行為は世界中から指をさされる行為。焼骨には罰則を設けて欲しい」 ミャンマー遺族 「伯父はミャンマーで戦死した。焼骨はぜひやめていただきたい。その是非を全遺族に聞いて欲しい。国策で戦地に行き、遺骨は野晒。また国の判断で焼くというのは倫理的におかしい。遺族の許可を取って欲しい」
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