2019年8月14日〜15日 遺骨問題で国際会議参加のため韓国へ(上田) 8月14日ソウルで「強制動員問題の解決のための国際会議」が開かれ遺骨問題の報告を行うのと、韓国で昨年末に行政安全部遺骸奉還課と意見交換するため韓国に13日夜に向かう。8月15日にソウルに滞在するのは初めてだ。今年は安倍内閣による韓国ホワイト国排除への韓国市民の反発があり、どうなっているのかという思いを持っての訪韓だ。アシアナ航空に乗ったが半分しか乗客がいないのにまず驚いた。韓国に行く前から「日本製品を買わない」「日本に行かない」と言う韓国市民の決意を目の当たりにした。金浦空港から地下鉄に乗ると地下鉄のホームに15日光化門広場・強制動員問題解決・反安倍行動を呼びかける労働組合のポスターが1枚貼ってあった。
14日午後からは国際会議に参加。報告者は17人。一人目の報告が終わったぐらいから会場は大混乱となった。ある遺族団体が「自分たちが国際会議の構成員に呼びかけられていない」と騒ぎ、会議妨害が組織的に始まった。主催者側は何度も注意をするが、会議を混乱させるのが目的のようで収拾がつかない。結局、途中でいなくなった。報告者もだれも驚いていない。激動日韓情勢の中で何をしたらいいのか分からない人たちがいて、こういうことが起きているのだと、妙に納得する。 さて、今回私はレポート文書の「はじめに」を、最も力を込めて短く書いた。「安倍内閣は植民地支配被害者に対し彼らと遺族を冒とくし、加害者の過去を忘れさせ、加害者の歴史を消し去ろうとしている」と。報告時間が少なく「はじめに」の部分は省略し遺骨問題を報告したが、ハンギョレはこの「はじめに」の部分を引用し報道した。私の怒りが8月15日韓国市民の怒りと同じだったということだ。遺骨問題の前進は次回のニュース(10月第5回厚労省交渉)まで待っていただくとして、会議では崔洛(チェ・ナックン)さんが5月に家族を連れてお父さんの動員地、貝島炭鉱跡を私たちと訪問したことを報告。また沖縄の沖本さんが本部町の韓国人遺骨と日本人遺骨が埋葬された場所で遺骨を発掘し韓国に奉還するために会を作ったことを報告した。沖縄では朝鮮人遺骨問題が県民のDNA鑑定とともに解決すべき課題として大きく報道されている。この日は慰安婦問題の集会も屋外で大々的に行われていた。 強制動員問題解決のための市民大会・行進に参加 いよいよ8月15日当日。解放74周年「強制動員問題解決のための市民大会」と行進がソウル市役所前広場で開催された。台風の影響の雨の中2000人が集い、日本大使館まで行進した。李煕子(イ・ヒジャ)さんが集会で激をとばす。日鉄・不二越原告も参加し、雨の中デモの先頭に立つ。強制動員問題での大規模なデモは初めてだそうだ。民主労組が動員をかけている。「安倍内閣を糾弾する」「強制動員を謝罪しろ」「歴史の主人公は私たちだ」コールは続く。すごく感動する。「反日デモ」とレッテルを貼られる理不尽さを感じる。昼から夕方にかけていろいろな団体が雨の中、強制動員問題の屋外集会を繰り広げていた。 夕方になると、反安倍の大集会が光化門広場で始まった。会場に向かう途中の文在寅退陣集会は確かに組織されていたが、混沌としていて高齢者が多い印象だった。しかし反安倍の大集会は、若い人や子連れ、中高生などが集まりどんどん膨れ上がる。安倍政権を批判する歌や音楽が披露される。雨も上がりみんな楽しそうで元気だ。一時のNO!JAPANのスローガンはなくなり、「NO安倍」一色になっている。主催者は10万人、テレビは3万人と表示しつつ数万人と言っている。多すぎてよくわからない。市民が不買運動に自発的参加しているので集会参加のみが市民にとっては意思表示の中心ではないというが、それでもすごい。 夜、テレビでは 韓国の独立運動の女性闘士ユ・ガンスのテレビドラマをやっていた。日本の警察に監獄で痛め続けられている。植民地支配で日本が何をしてきたか。何年、韓国を植民地にしたかさえ多くの日本人は知らない。朝鮮で何をしたかほとんど知らない日本人が教育やテレビやインターネットで作られてきている。 2019年8月15日韓国のデモの中で、植民地支配被害者を韓国社会が守るという大きな歴史の一歩が築かれたことを感じた。一方で、加害者が被害者のようにふるまう日本の現実の中で、韓国人軍人軍属の遺骨問題という事実を沖縄から本土に広げていくことの意義が大きくなっている。 まずは10月第5回厚労省交渉に全力を上げ、韓国人沖縄戦遺族167名のDNA鑑定データーと遺骨との照合を日本政府に認めさせなければならない。
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