2010年7月10日

「有効? 無効? 韓国併合条約」講演会(大阪)


 

戸塚悦朗さん

 

 戸塚悦朗先生から、まずこの問題を研究するいきさつを話していただき、韓国の研究者の論文、その原本、国際的条約集などの資料から得られた事実を報告していただきました。それは、1910年、「韓国併合条約」が締結され、日本の植民地支配を正当化する法的根拠が、いかに日本側に都合よく作り上げられていったかということがわかるものでした。つまり、国家間でかわされた条約、協定に大きな瑕疵が潜んでいたことが、韓国の研究者によって明らかにされているのです。
 1904年から1910年の間にかわされた「協約」「条約」とされるものには、王の署名や印がなかったり、その文書にタイトルがないままに発効されてしまっていて、日本側が勝手に「条約」を意味する「TREATY」「CONVENTION」という言葉を使って国際社会に提出してしまったといういきさつがあるのです。つまり批准されずに、「韓国併合」がすすんでしまったわけです。このことに関して、韓国側から日本政府に「無効ではないか」として見解を求めたのですが、日本政府は全ての「条約」が「批准」を必要としたわけではないので、「略式であっても、無効ではない」という態度をとり、この問題に真摯に向き合うことなく「無視」してきたそうです。戸塚先生はそのことについて、そもそも、独立国家の外交権を奪うという最も大切な条約が「略式」でいいとすること自体がおかしなことであり、それは国際的な条約慣習法からみても、通用する理屈であると力説されました。
 戦時下で、強権的に「韓国併合」がすすめられてきたことは疑いのない事実ですが、お話を聞いて、法理論上も大きな問題をはらんでいたことがよくわかりました。この講演を詳しく知りたい方は、是非「韓国併合を問う」と題するブックレットを是非お読みください。