2001年11月15日

グングン連続講座パートUはじまる!(東京)
「靖国参拝・合祀違憲訴訟問題」  今村嗣夫弁護士



 パートUの第1回目は、靖国訴訟や戦後補償訴訟に深く関わっている、今村嗣夫弁護士から「靖国合祀の歴史と問題」について学習しました。6月29日の合祀絶止提訴、11月1日の小泉参拝違憲訴訟提訴を踏まえて開催したもので、当日は専修大学の古川ゼミからの参加者も含め35名が参加しました。
 冒頭今村弁護士から、小泉首相の「おかしい人」発言に対してどう考えるか、という問題提起から始まり、これまでの靖国訴訟の全体像が明らかにされました。
 憲法20条に規定される宗教に対する憲法上の原則には、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」という(狭義の)信教の自由の原則、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」とする政教分離の原則(広義の信教の自由)がある。国の介入・特権の排除こそが問われている。津地鎮祭違憲訴訟や、山口県自衛官合祀違憲訴訟を通じて、「国家神道はいわゆる軍国主義の精神的基盤となっていた」(津地鎮祭最高裁判決反対意見)のであり、それを繰り返さないために、「少数者の人権の保障」の原則、「平和的生存権保障」の原則が厳格に守られなければならない。たとえわずかでも国家が介入することにあれば、信教の自由、政教分離の原則は崩され、今なお「英霊」を祀り侵略戦争を美化する靖国神社を再び公のものとすることになる。
 GUNGUN裁判原告は宗教的信念で合祀取り下げを求めているのではなく、植民地支配の隷属に今なお置かれている亡き父兄のために求めています。しかし靖国神社側は「当時彼らは日本人であった」から合祀すると言い、植民地支配を正当化し続けています。 今回の講座では、靖国問題の難しさと重要性など多くのことを学びました。「合祀絶止」は二度と侵略戦争を許さない、未来を切り開く運動である思いを強くしました。