靖国神社は生存者を合祀していた!!  現時点で2名を確認

 原告・李淡泰(イ・タンテ)さんのお父さん、李箕斗(イ・キドゥ)さんはニューギニアから生還したのですが、1959年に靖国に合祀されていたことが判明しました。
 本人は1999年5月19日に亡くなっているのですが、その間40年間、生存者が靖国に合祀されていたことになります。しかも残された家族はずたずたに引き裂かれました。
 また、金智坤(キム・チゴン)さんは、ハルピン戦をくぐり抜けて、現在、京畿道把住市にお住まいです。

 この間原告たちの「合祀絶止」の要求に対し、「神になった人を合祀取り下げるなど侮辱だ」と言っていた靖国神社は「この人こそ現人神だ」とでも言うのでしょうか?靖国の矛盾、戦後処理の矛盾を、どんどん広げ、原告の要求を勝ち取りましょう!


李淡泰さんの陳述書

陳述人       李淡泰
被徴用者      李箕斗(イ・キドゥ)
被徴用者日本名   李原箕斗
被徴集区分     海軍軍属
被徴集場所     ニューギニア キルワ
陳述人との関係   父

陳述内容

 私の母・趙基任(チョ・キイム)は1933年4月1日、全羅南道羅州郡ムンピョン面サノ里907番地で1男2女中、二番目に生まれました。母が17歳の時に、父の李箕斗(イ・キドゥ)と結婚し、羅州郡ムンピョン面オクタン里285番地で生活しました。父とは解放された後1950年に結婚したので、徴用に行った状況を直接目撃できず、父は1999年度に死亡してしまったので、故郷で父が徴用に行く当時、一緒に生活していた人が目撃した事を基礎にして陳述します。
 父は1942年7月頃に徴用に行くようになり、令状は出なかったと言われています。村では数名が一緒に行き、南洋群島に行くという風に聞いたそうです。手紙が来たのか、月給が送金されたのかは分りません。解放される前に、故郷の実家に父の遺骨が到着し、家族は皆、父が死亡したものと思っていました。父が徴用に行く当時には、結婚をしていた状態であり、息子も一人いましたが、徴用に行った直後に息子は病気で死に、父の死亡消息を聞いた妻はすぐ再婚したとのことです。その後、1950年に、父は趙基任と再婚しました。
 解放されてから父は故郷に帰って来ました。死亡したものとだけ思いこんでいた家族と村人達は皆、驚いたそうです。父が強制的に徴用されて日本の軍隊に入隊すると、部隊では部隊員が逃亡するのを防ぐために両耳を切ったといい、その傷跡はずっと残っていました。軍隊生活をしながら、多くの苦労をしたと言ったが、具体的な内容はあまり言いませんでした。運良く非常に健康だったので、それほど支障なく生活できただけでも、本当に幸運だったと思います。
 父は心の奥底に抱いている日本に対する鬱憤を発散させるかのように、太平洋戦争犠牲者遺族会という団体を訪ね歩いて活動をしましたが、1999年5月19日に交通事故で、心の奥底の鬱憤が少しも癒されないまま死んでしまいました。
 家族達は無残に犠牲になった父の青年時代を考え、より正確な資料を探すために、日本の厚生省に資料調査を依頼しました。1942年7月23日に第4海軍建築部東京支部普通工員として任用され、1942年7月24日に第15設営隊に派遣されたとの事です。1943年1月22日にニューギニアのキルワで戦死し、2,391円が死没給与金として供託されていたという答弁がきました。父が死亡したために、戦死したと記録された1943年以後にはどのように生活したのか分りません。その当時、父は死亡申告がなされてから再び取り消しましたが、被徴用死亡者連名簿にも父の名前があります。
 若い時に強制的に徴用され、逃亡させないために耳まで切るという苦痛を与えるなど、人間以下の扱いを受け、一生心の奥底に恨みを抱きながら生きましたが、日本は自らが犯した過去に対して一言の謝罪もしなかったし、如何なる補償の恩恵も受けないまま死んでしまいました。若い時に強制的に犠牲になった事に対する鬱憤が少しでも癒されるように、正当な補償がなされるのを希望します。

2000年11月2日


金智坤さんの陳述書

陳述者氏名     金智坤(キム・チゴン)
生年月日      1919年9月3日
日本名       金村武治

陳述内容

 私は1936年7月1日平壌陸軍航空支庁に軍属として配置されました。その後、38年8月10日にハンフン陸軍航空分庁、40年8月15日に満州駐屯野戦航空補給廠、44年8月5日にハルピン派遣第4航空司令部に移り、ハルピン作戦に参加しました。45年1月1日、米軍上陸で、抵抗不能になり数十回の死線を越えて山岳地帯に後退し、草の根、木の皮を食べながらやっと命をつなぎとめました。45年9月15日、米軍冠禮捕虜収容所に収容されました。45年12月1日、日本に送還され、帰国しました。
 年金、その他の貯金ならびに諸手当金の支払いを求めます。