在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.93 (2020.2.1発行)

遺族の皆さんが若者と一緒に忘年会
12月 推進協事務所

「遺骨選別に科学者を入れよ」「遺骨を焼くな」と厚労省・外務省に申し入れ!
タラワの遺骨が韓国遺族の元へ帰ることが確実に!

 昨年、厚労省によるロシア人遺骨、フィリピン人の遺骨の取り違えや、鑑定結果の隠蔽など、杜撰ででたらめな戦没者遺骨の扱いが大きく報道されました。遺族の思いを踏みにじる厚労省の対応に強い憤りを覚える中、1月21日に「戦没者の遺骨に関する厚労省外務省との意見交換」を沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅さんとともに行いました。
 今回のテーマは、大きく「遺骨の選別に科学者を入れよ」「遺骨を焼くな」の2点。
 太平洋戦争の激戦地タラワ島(戦死4,800人中、朝鮮人1,200人)で収集された遺骨を米軍(DPAA:戦争捕虜行方不明者捜索局)主導で米、韓、日の3国で74体の遺骨を共同鑑定し、「韓国で150片の遺骨を持ち帰って、184名の遺族からDNA鑑定、安定同位体検査を行い、韓国人遺族DNAと一致した」と報道がされました。大切なことはアメリカも韓国も遺骨を法医学者・科学者が扱い、将来の技術進歩に向けて決して焼骨しないという点です。厚労省は相変わらずのらりくらり答弁でしたが、今後「韓国にできたことを日本はなぜできないのか」が問われます。
 植民地支配と戦争責任を取らせるために粘り強く取り組んでいきます。引き続きご支援ください。

李熙子(イ・ヒジャ)さんから新年のご挨拶

 
  李熙子さん
在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会の皆さま

 明けましておめでとうございます。
 また新しい年がやってきました。いつも共にしてくださる在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会の皆さまのご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。
 昨年は、本当に胸苦しく、気苦労の多い1年でした。いつも皆さまのことを思い出して心をなだめました。いま起こっている様々な問題は通りすがりの風のようなものだと、考えてみました。私たちが共に活動し、賢明に克服していかなければと、また使命感が生まれました。
 私は、一昨年10月の韓国大法院判決を見守りながら、皆さまのことを思い浮かべました。とても嬉しい気持ちでいっぱいでした。皆さまのご支援と、日本と韓国を行き来しながら、何度も法廷に入り、堂々と歴史の証人となった被害者や遺族の粘り強い闘争によって獲得した大きな成果でした。
いま見られる様々な動きは、希望の架け橋をつくる過程だと考えてください。私たちが続けてきた闘いと交流は、歴史の中にきちんと残され、次世代が不幸な歴史を振り返るきっかけとなっているのです。本当に意義深い成果です。
 皆さま、お元気でお過ごしください。そして、楽しく幸せな2020年を力強く迎えられることを心より願っています。

                   2020年1月10日 太平洋戦争被害者補償推進協議会 李熙子

1・21「戦没者の遺骨に関する厚労省外務省との意見交換会」を開催(上田)
 
 
  厚労省への要請書を手渡し
 1月21日、遺骨問題の厚労省・外務省意見交換会が開かれた。衆議院第2国会議員会館100名収容の会場はいっぱいになった。日韓のマスコミは合わせて30名以上。国会議員は近藤昭一議員が紹介議員となり沖縄の議員をはじめ7名が参加した。国会議員の政策秘書の参加も多く参加し熱気あふれる2時間の意見交換会となった。
 今回の意見交換会は遺骨収集推進法施行から4年を迎えるにあたり沖縄でなかなか進まないDNA鑑定(特に遺骨鑑定)の進展のための全般的なチェックや提言を行うことと、韓国人遺骨問題を焦点に据えて取り組んだ。要請団体は沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤー(ガマを掘る人)と、太平洋戦争被害者補償推進協議会、戦没者遺骨を家族の元へ連絡会の3団体。3団体が共同で要請するのは初めてだ。
 
 冒頭大きな成果があった。厚労省から沖縄で発掘され保管されている手足の遺骨700体について今年3月末までに検体を採取し4月から鑑定を開始すると報告された。政府広報により130名の遺族の追加申請(遺族の申請は1000名近くになる)があったこと。また、慰霊塔など17か所に今後鑑定の対象となる遺骨があることが報告された。ここで問題が生じた。誰が700体の遺骨から検体を採取するかという質問に厚労省は事務職員が行うと答えた。参加者からは「専門家が行うべきではないのか」と強い追及が行われた。またガマフヤーから「鑑定に当たっては沖縄の科学技術大学院大学などの鑑定拠点を置き進めるべき」との提案がされた。厚労省は「素人でもDNA鑑定できないとわかる骨もある」などと発言し、参加の国会議員から「素人がすべきことではない」と抗議を受ける始末だった。
近藤議員はじめ多くの国会議員が参加 大勢の参加者が駆けつけた会場 答弁に立つ厚労省外務省の担当者
 
 遺族の声「遺族は焼骨など望んでいない」
 
 また、DNA鑑定を妨げる焼骨のことについても大きな議論になった。硫黄島では1万人の回収した遺骨のうち500体以外のほとんどは焼骨してしまっていることが明らかとなり、韓国のマスコミでも驚きだと報道された。厚労省が焼く理由を「遺族感情」としていることにも、参加した遺族から「遺族はそんなことを望んでいないし、厚労省は遺骨の遺族の承諾を得ていない」という当たり前のことが指摘された。専門家の参加と、沖縄の拠点を置くこと、焼骨反対の遺族の声はマスコミを通じて全国に伝えられた。これほどのマスコミの関心は、ロシア問題(日本人でない骨を焼骨し、持ち帰ったのを長年隠蔽した事件)の真剣な反省を厚労省が行わず、私たちがその解決の方向性を指し示したからである。
 
 タラワ島での遺骨の一体が韓国人と判明したことを認める
 
 また、太平洋地域の遺骨ではタラワ島の遺骨について2000名に連絡をし、300名からDNA鑑定の申請があったことや硫黄島でも4月から呼びかけを始めることなども報告。
 今回外務省が参加し、米日間で共同鑑定を進めるタラワ島で1体の遺骨が韓国人遺族と合致したことの報告を韓国外務省より受けたことを認めた。沖縄戦韓国人遺族163名が遺骨との照合を韓国政府を通じて要請していることについては、今まで「韓国政府から具体的要請があれば応える」「外交ルートの要請がない」という厚労省の逃げ文句は今回なくなり、「適切に検討する」というものに変わった。また日本外務省も韓国連合ニュースの取材に返還に向けて韓国外交部と引き続き協力する意向を示した。
 
 「骨片でもいいから家族に返して!」李熙子さんと朴南順さん
 
 
  中国戦線で父を亡くした李熙子さん
 
  ブラウン島で父を亡くした朴南順さん
 意見交換会の議論を聞き、李熙子(イ・ヒジャ)さんは次のように訴えた。
 「息苦しい思いです。2013年14年から要望書を4,5回渡した。しかし、今日の応えの中で私が怒りを抑えることができないのは、ご遺骨を厚労省の専門家でもない職員がゴミの分別みたいに選別しているが、専門家がやるべき仕事でしょ。それをやっていることに怒りを感じる。いまだに基本的な事も始まっていないではないかと思っている。自分の家族のことだと思うなら、こういう風に仕事をするのか考えてみてください。前には韓国の要請があれば応えると言っていたのに、今日は協議中ですという返答。自分の良心に照らして考えてみてください。一つの骨片も青年の時連れて行かれた人の骨片です。家族にとって骨片一つでも待ち焦がれていることを考えてください。戦争責任は取らないといけないでしょう」
 また朴南順(パク・ナムスン)さんも続けた。
 「重苦しいです。ブラウン島で父は亡くなった。父が42年に動員されブラウン島で亡くなったことを知らずに生きてきた。国家記録員で2005年初めて知った。父がいなくて勉強もできなかったので漢字も読めません。紙は白く字は黒くしか見えない。靖国合祀の判の意味も分かりませんでした。戦争に勝手に連れて行って鉄砲の盾にしておいて、こうやって家族にも知らせず合祀している。漢字も分からない日本語も分からないので、海軍軍属で飛行場の工事をしていて爆撃で死んだと李ヒジャさんに聞いた。私が母のお腹の中にいる時に日本のために父は連れていかれた。皆さんお願いします。ブラウン島で焼骨しないで、私に返してください。私がお祀りするのでお願いします」
 
 日本の多くのマスコミが2人の話を直接聞いたことは大きな意味がある。今回初めてタラワ島で韓国人遺骨が見つかったことが日本のマスコミにより報道された。
 私たちの闘いは、もう真ん中どころかあと一歩のところまで来ている。すべての戦争犠牲者と連帯していくことが闘いのカギとなっている。今回の意見交換会は日韓関係の改善に大きな一歩を築いた。
 
意見交換会での日本人遺族の発言

沖縄戦遺族
「私は少なくとも焼骨について聞かれたことはない。だれの指示で、なぜ焼かなければならないか応えて欲しい。検体を取った残りの骨も焼かないで欲しい。焼骨という行為は世界中から指をさされる行為。焼骨には罰則を設けて欲しい」

ミャンマー遺族
「伯父はミャンマーで戦死した。焼骨はぜひやめていただきたい。その是非を全遺族に聞いて欲しい。国策で戦地に行き、遺骨は野晒。また国の判断で焼くというのは倫理的におかしい。遺族の許可を取って欲しい」
沖縄戦遺族 ミャンマー遺族

寄稿
沖縄本部町健堅(けんけん)の遺骨を故郷に帰す会 沖本富貴子さんから

本部町健堅の遺骨発掘、生きた証の回復を!!

 
  「LIFE」誌1945年5月28日号掲載写真
 沖縄戦の地上戦が始まる直前の1945年1月22日、夜通し積み荷をしていた軍徴用船彦山丸が朝方、米軍機の攻撃で座礁炎上し、44旅団や、救助に向かった船舶工兵隊員多数が犠牲になった。遺体が引き上げられ一部が健堅に仮埋葬されたときの墓標の写真が米従軍カメラマンのユージン・スミスによって撮影され「LIFE」誌1945年5月28日号に掲載された。14の墓標中12人は彦山丸の乗組員であった。内2人は朝鮮人である。これまで朝鮮人2人を含め6人の遺族と連絡が取れ、もう1人の遺族は連絡を拒んでいる。このほか3人については身元の確認がとれたが遺族情報がない。1人は生還の記録があるが確認できていない。残り3人については全く手がかりがない。この写真の存在がありながら75年間一通の知らせもない遺族もおり、最期についてはみな詳しいことを知らされていていなかった。
 埋葬された写真がある以上、何らかのけじめが必要との考えから私たちは会を立ち上げた。遺族探しから始まって、遺骨が見つかればDNA鑑定で家族(故郷)に帰すことができると期待を持って発掘を計画した。この発掘には韓国、台湾、北海道、そして沖縄から青年たちが集まり、「揺らぐアジアの平和を確かなものへ」を合言葉に2月8日から4泊5日で行う予定だ。地元本部町では辺野古新基地反対の現場に毎日通っている本部町島ぐるみをはじめ、町議の協力で町からの支援をもらい、又何よりも健堅区の理解を得て実施に向っている。本部町の戦争を語り継ぐ活動をされている方の協力は大きい。
 本部町も沖縄戦の被害を大きく受けている。1944年の10・10空襲では瀬底島沖で潜水母艦・迅鯨が沈没、健堅の部落には爆弾が落され山での避難生活が余儀なくされた。健堅森の方には日本軍壕がそのまま残っている。ここの壕堀りには健堅に駐屯していた朝鮮人部隊(=特設水上勤務第104中隊)が動員されたと思われる。八重岳方面には第3高女が補助看護に動員された陸軍病院跡がある。日本軍はここに負傷兵を置き去りにして後退した。護郷隊に動員されて命を落とした3中生(名護在の中学校)の少年がいる。又現在、健堅に隣接する本部港からは伊江島の平和学習に向かう子どもたちを乗せて船が出港している。このように健堅は次世代につながる平和学習の重要な地域として浮上している。
 
一日も早く生きた証の回復を!日本政府は放置の謝罪を!
 
 遺族への遺骨返還については、遺骨を引き取りたいはっきりと意思を示された方は一人。口に出さずとも期待されているかもしれないが、引き取りにはっきり難色を示す方もいる。遺族が望むからという動機では健堅の遺骨発掘は説明できない。私たちは戦争に連行し死なせたものをかくも長く放置している日本政府が許すことができないという立場だ。たとえ歳月がたち遺族の元に戻れなくとも、沖縄の地に放置されている遺骨を収容し、一日でも早く生前の名前を取り戻して生きた証が回復されなければならないと思う。
 韓国の遺骸奉還課では2人の遺骨であることがはっきりすれば最高の儀礼を持って祖国に持ち帰りたいとしている。日本政府も積極的に遺骨を探し出し最高の医学水準で身元を特定すべきである。遺族の方には戦争の過ちを伝え丁寧な謝罪と共に、どのような状況で亡くなりどのように弔われたのかを詳細に報告すべきである。特に韓国のお二人は日本の補償制度から切り離され死亡一時金も遺族年金もなかった。連行の過程から調べてその過ちを認め、謝罪すべきである。

遺骨収容の共同作業にご支援を!
 
 
  2017年 本部町健堅で韓国の遺族らと
 仮埋葬の現場は急斜面の古琉球石灰岩の岩場で発掘自体が非常に難しく、公的機関がやるとなれば莫大な費用の掛かるところである。2日にわたる試掘の教訓から、文化財発掘の専門家にアドバイスを求め、以降、数度にわたる草刈り、メンバ―の募集、支援の要請、町や地元との打ち合わせ、カンパ集めと皆が奔走している。無事怪我無く、遺骨が収容できればと今はそのことでいっぱいである。こうした努力の末遺骨が収容されたとしても、遺骨は収容者した者の所有物ではない。厚労省の鑑定結果が出ない時に備えて半分は所持しておく、と言ったような遺骨を盾にとって策を弄するようなことはすべきではない。
 健堅の遺骨は日韓両国政府がそれぞれの研究成果を共有しながら、国家の責任として鑑定を成功させるべきであり、それが実現されるようにするのが私たちの役割ではないかと考える。
 (2020年1月23日)

※2017年には李熙子さんも本部町の現場を訪れています。ご支援をよろしくお願いします!

ノー!ハプサ第2次訴訟控訴審第1回口頭弁論の報告(山本)

 昨年5月28日の不当判決から8ヶ月。1月20日に控訴審の第1回口頭弁論が東京高裁101号大法廷で開かれました。原告の朴南順(パク・ナムスン)さんが判決に続いて参加されました。大法廷で行われることになり、裁判所も重要な事件と認識はしていると思われます。傍聴券が配布され、抽選にはなりませんでしたが、靖国神社側の傍聴者も含めて多数の傍聴者が参加しました。
 
意見陳述を行った朴南順さん  
 冒頭に意見陳述を行った朴南順さんは、5月28日の一審判決について、「5年7ヶ月という長い時間がかかった訴訟の判決を、わずか5秒で読み上げ逃げるように法廷から去っていく裁判官の姿を見て、私は怒りを抑えることができませんでした。日本まで来て、戦争被害者として人権の回復を訴えた原告らの声に、丁寧に耳を傾けるどころか、『忖度判決』を下した、裁判所の誠意のない態度に、失望を超え怒りを感じました」と批判し、「私は、父の名前を靖国神社から必ず取り消すつもりです。それだけが、侵略戦争に連れて行かれ、『犬死』させられた父の悔しさを解きほぐす唯一の道だからです」と訴えました。
 続いて、弁護団から控訴理由書と準備書面1・2の陳述を行いました。控訴審で弁護団が強調したのが、韓国人靖国神社無断合祀問題は単なる感情の問題ではなく違法性の問題であるということです。準備書面2は国際人権法の観点からこれを展開したものです。また、準備書面1では、豊臣秀吉時代の朝鮮侵略の際に夫が殺され、日本側将兵を道連れに自害した朱論介(チュ・ノンゲ)という女性を日本側で勝手に追悼していた問題をめぐる日韓間の紛争を取り上げ、遺族の意思を無視した無断合祀の問題性を明らかにしました。
 被告日本国の答弁書は簡単なもので、控訴理由書に対する主張は次回行うとしました。被告靖国神社の答弁書は5ページに及ぶものでしたが、山口自衛官合祀訴訟最高裁判決に全面的に寄りかかり、「控訴人らが合祀に嫌悪感があるとしても、その合祀の状況が、社会通念上許される限度を超えて控訴人らの人格的利益を侵害するようなものではない」と開き直るものです。原判決は植民地支配の事実に一言も触れていません。父や兄を失った遺族の「人格権」にしっかり向き合って判断するよう東京高裁には求めたいと思います。
 第1回口頭弁論ということで、裁判後は一昨年10月30日の大法院判決後の日韓関係の下での靖国合祀取り消しや遺骨返還など韓国人軍人軍属問題の解決を求める集会を約50名の参加で開催しました。原告の朴南順さんから「これからが始まりです」とあいさつがあり、大口昭彦弁護団長と浅野史生弁護士から控訴審方針・書面の説明が行われました。続いて、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野さんから「歴史清算をめぐる動きと日韓市民の課題」について提起していただき、それを踏まえて、太平洋戦争被害者補償推進協議会の李熙子(イ・ヒジャ)さんから遺族の立場からの発言を、「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会の上田さんから戦没者遺骨の返還を政府に迫る闘いの現状報告と21日の対政府交渉の呼びかけがありました。
第1回口頭弁論後の報告集会 遺族の思いを語る李熙子さん

 次回は3月24日(火)午前11時から、東京高裁101号法廷です。

読書案内
 
   

DNA鑑定 
     犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで
                
                      梅津和夫 著 講談社 1,000円+税

  著者は、山形大学の研究機関で太平洋戦争における戦没者のDNA鑑定を行っているが、「私の父がシベリア抑留者の一人であったこととどこかでつながっているのではないかと思う」と語る。「DNAの膨大な塩基配列を自動的に読んでくれる技術『次世代シーケンサー』の最大の特徴は・・・ご遺骨から得られたわずかな断片の塩基配列からも、かなりの正確さで故人のゲノム情報が得られる可能性が高い。遺骨と遺族のマッチングは、手作業の部分が少なくないので、現実には次世代シーケンサーの恩恵にあずかることは簡単ではないが、近い将来には、この大部分を人工知能(AI)がやってくれる時代が来るはずである。その日に備えて、これからはご遺骨を焼骨してしまわずに保管すること、遺族のDNAの保存が重要となるであろう」と説く。
 「遺族から提供された口腔内細胞は、祈るような気持からだろうか、採るときに力が入りすぎて血の滲んでいる資料が少なくない。このような資料を見るにつけ、早く身元を確定してあげたいという気持になる」という。戦没者遺骨を扱う厚労省のずさんな管理が問題になっている今、著者のような法医学研究者がその最先端に存在していることが遺族にとって救いであることを感じさせてくれる。(古川)

GUNGUNインフォメーション

2月 4日(火) 14:00 中国人強制連行大阪・花岡国賠訴訟控訴審判決 大阪高裁大法廷
                  18:30 判決報告集会 エルおおさか606号
2月 5日(水) 14:30 即位大嘗祭訴訟 東京地裁103号法廷
2月11日(火・休) 「建国記念の日」反対 天皇&オリンピックによる「国民統合」NO! −「日の丸・君が代」強制もゴメンだ−
                  13:00 大淀コミュニティーセンター
2月12日(水) 18:30 「戦後補償裁判の現状と課題2020」 東京弁護士会館10F
2月13日(木) 16:00 遺骨宗教者市民連絡会 統国寺
2月14日(金) 10:15 東京総行動(日本製鉄前)
2月24日(月・休) ドキュメンタリー映画「金福童」上映会 @10:30 A13:30
                  大阪市立東成区民センター 小ホール入場料:1000円
2月26日(水) 18:15 琉球民族遺骨返還請求訴訟・支援集会 キャンパスプラザ京都 第1会議室
2月27日(木) 14:00 琉球民族遺骨返還裁判 京都地裁 大法廷
<延期>7月 9日(木) 16:00 ノー!ハプサ(合祀)控訴審第2回口頭弁論 東京高裁 103号法廷