在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.72 (2013.5.18発行)

ソウルで日韓遺族交流集会を開催

(ニューギニアに放置された遺骸について
報告する岩淵さん。2013年4月29日。)

日韓遺族による遺骨調査でヤスクニの虚構を打ちくだこう!

 4月の麻生副総理ら閣僚をはじめ、国会議員169人による靖国参拝と、それに続く安倍首相の国会答弁「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない」発言を受けて、朴槿恵韓国大統領はオバマ米大統領との会談で「東北アジア地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければいけない」と言及しました。
 5月10日には韓国国会議員が靖国参拝に抗議する書簡を、韓国外務省を通じて安倍首相に送り、今後の参拝中止と朝鮮人約2万1千人の合祀取消しを求めました。
 GUNGUNと太平洋戦争被害者補償推進協議会は、NPO法人太平洋戦史館と連携し、2月のニューギニア遺骨調査に金敏普iキムミンチョル)さんが参加。4月29日にはソウルで岩淵会長理事を交えた遺族交流集会を開催しました。
 遠い戦地での遺骸放置の現状と、一方で行なわれる国家と靖国による戦死者利用の問題が共有されました。日韓遺族の連携でヤスクニの虚構を打ちくだきましょう。

ソウルで日韓遺族交流集会を開催(古川)

 GUNGUN原告でニューギニア遺族の高仁衡(コ・イニョン)さんとNPO法人太平洋戦史館会長理事の岩淵宣輝さんとの対面実現が2007年、6年前のことでした。昨年8月には高仁衡さん、南英珠(ナム・ヨンジュ)さんの西部ニューギニア・パプア戦地追悼が実現し、今年2月には東部ニューギニアでの遺骸調査活動に初めて韓国人である金敏普iキム・ミンチョル)さん(太平洋戦争被害者補償推進協議会執行委員長)が同行し、現地で遺骸が放置されている現実をその目で確認しました。そしてその報告会を兼ねた日韓遺族の交流集会が4月29日ソウルで開催されました。

※ ニューギニア現地の写真はNPO法人太平洋戦史館の提供で公表させていただきます。(転載禁止です)

※ 2月調査の記事をすぐにニュースでお知らせするつもりでしたが、諸般の都合で発行が延期になり、今回の報告になりましたことをお詫びします。

70回忌を見越した日韓遺族の交流を提起

 早朝に岩手を出発した岩淵さんは、仙台経由で仁川空港入り、ソウルでの夕食会場で、李煕子(イ・ヒジャ)さん、南英珠さん、金敏浮ウんたちの歓迎を受けた。李煕子さんは「これから遺族が現地での遺骸発掘を岩淵さんがやってきたように具体的にすべき」と、今回の遺族集会を通じての意気込みを語り、一方で「発掘された遺骸を火葬する前に祭祀行事をやったほうがよいのではという意見もある」と韓国人側から見た祭祀の方法について問題提起。岩淵さんからは、遺族の父や兄の70回忌となる2014年を見越して「来年計画がある。KIJANPTIL(韓国、インドネシア、日本、アメリカ、ニュージーランド、パプア、台湾)遺族連盟を結成し、戦争の反省、総括を促していきたい」という構想が明らかにされた。

70回忌構想を語る岩淵さん 岩淵さんとの再会を喜ぶ南英珠さん

大勢の遺族を前に放置された遺骸の状況を報告

 翌日29日の集会は、ソウル駅近くの東北アジア歴史財団の大会議室で開催。約50名の参加があり、マスコミもTVカメラも含め数社が取材。
 冒頭の主催者挨拶で李煕子さんは「最近日本で靖国参拝をやっているが、韓国・中国からの反対意見を内政干渉というのであれば、まず私たちの親の名前を消すべき。今後も糾弾していく」と今後の意気込みを語り、集会がスタートした。
 
 まず金敏浮ウんから2月にニューギニア現地で遺骸放置の現場を調査報告。
 「昨年8月にGUNGUN裁判を支援する会のバックアップで南英珠さんと高仁衡さんがパプアニューギニアへ岩淵さんと一緒に訪問することが実現した。11月には私と李煕子さんが岩手へ行って岩淵さんと交流。そして今年2月に私が岩淵さんたちとともにニューギニアでの遺骨調査団に参加して、ニューギニア州都のジャワプラで遺骸を発掘した。これからの映像はその調査結果」「2月だったが現地は30度以上の気温で暑かった。こういう風に遺骸がたくさん発掘されたが、状況から集団埋葬地として埋められたのではないかと推測される」「これは道路上から頭蓋骨が発見されて掘っているところ。戦死した韓国人はニューギニアでは戦没者の2%になる」「プアイ村に行くのに2日間、帰るのに2日間かかった。今回は飛行機の乗継など岩淵さんのおかげでスムーズに行けたが、遺族の父や兄は船で、しかも夜間のみの移動だった」と今回の調査の意義と自分自身が参加した感想を報告した。

集会には大勢の遺族が参加 金敏浮ウんが現地報告

岩淵さんの報告(写真)に食い入るように見る韓国の遺族たち

 ついで、岩淵さんが「2月にミンチョルさんたちとニューギニアへ行った」と、写真を映し出しながら報告を行なった。
 写真を繰るたびに、多くの遺族は身を乗り出して現実を確認している。遺骸を集めて焼骨している写真で岩淵さんは、「国家儀礼というのであれば、ここまでやってはじめて儀礼だ」と、今回の靖国参拝を批判した。
 「今回は、バリ経由だったから遠かったが、仁川発でパラオ経由であればもっと早く行ける。今回こちらに来る飛行機でコリアタイムズの記事を読んで思ったが、靖国参拝を韓国の方と一緒に怒りたい。これは天皇が靖国を参拝したときの新聞記事。天皇が神様だった時の作り話。皆さんの親も皇国臣民の誓詞を暗記させられて神社で頭をさげさせられた屈辱として忘れないと思う。靖国参拝をなぜ今年やったのか、それは今年参議院選挙があるから。私たちの父親の魂を選挙に利用するなんて許せない」と、遺骸放置の一方で国家や靖国によって父・兄の「死」が利用されていることへの怒りを吐露した。

写真を使って報告する岩淵さん 「焼骨までやって初めて儀礼」と語る

身を乗り出して見る参加者 写真に息をのむ

遺族の痛みや悲しみは同じ〜日韓連携の思いを共有

 

ニューギニア行きに同行した上田さん

 
 

決意を語る李煕子さん

 
 

参加者みんなで記念撮影

 
 

二次会は恒例のノレバン

 

 岩淵さんの報告を受けて李煕子さんは、「遺骨というのは儀礼の済んだ骨のこと」「今回の報告会に至るまでにいろんな人の協力があった。今の映像と写真で遺骸がどのように放置さている状況なのかがよくわかった。遺族の痛みや悲しみは同じ。岩淵さんの協力を得ながら関係機関に圧力をかけたい」と抱負を語った。

 私(古川)からは、フィリピンで遺骸発掘活動を続けておられる佐賀県のNPO法人「戦没者追悼と平和の会」の塩川正隆さんの活動を紹介。岩淵さんと同じ思いで活動されている遺族は日本国内に少なからず存在している。フィリピンはアジア太平洋戦争で最も多い50万人以上の戦没者を出したエリアであり、放置された遺骸の中に朝鮮半島出身のものが必ず含まれていることを問題提起した。また塩川さんの働きかけによって、昨年11月に日本弁護士連合会から政府に対して「戦没者の遺体捜索・収容等の扱いに対する意見書」(別掲)が提出されたこと、その内容に多くの注目すべき点があることを報告した。

 昨年8月パプア追悼と今年2月遺骸調査という両行動に参加した上田さんからは、同行報告が。「昨年の南さん高さんのパプア行きに同行した。ボイキンには行けたが、大雨で川が氾濫しヤカムル側へ渡ることができず、南さんが「お兄さんは私に来るなというのですか」と叫んだ。翌日船で4時間かけて行くことができた。そのときは遺骸の状況を見ることはできなかったが、今年2月にミンチョルさんと遺骸発見に同行することができた。発見の翌日は道具を買って発掘を準備した。頭蓋骨が出てきたときは「本当にこんなことがあるのか」と思った。現地の人が日ごろ歩いている道のど真ん中から頭蓋骨が出てくる。あいにく現地へ行くには高い費用が必要。皆さんが行くためには、韓国・日本政府に圧力をかけなければならない。この映像は日本政府としてはみせたくないもの。何でもよいのでどんどんやっていきましょう」と今後の連携にエールを送った。

 集会最後に金敏浮ウんから、「現地で追悼碑を建てたいという計画を話すと、誰も行かない限りただの石になってしまうので、それよりは橋を建造してそこに名前を彫るほうが亡くなった人を記憶することにつながる。橋でも学校でもよい。という助言があり、私も考えてそちらのほうがよいと思っている」「現在、韓国も日本も過去清算に反対だった勢力が政権を取っており、困難な点も多いが、韓国日本のネットワークを生かして連帯していくことが重要」と抱負を語った。
 そして李煕子さんからは「8月にキャンドル行動があるが、10人は参加して、靖国の前で何らかのパフォーマンスをやりたい」と決意表明があり、集会は終了した。

映像を撮りにニューギニアへ行ったことが発展につながる

 集会後、李煕子さんは「映像の重要性がわかった。この映像を撮りに行ったことに意義がある。ニューギニアへ行ったことが発展につながる。今回ミンチョルさんが行ったことが大きい。映像をどう活用するかを考えよう」と今回の集会の意義を語った。
 岩淵さんが提唱した「日韓遺族外交」も3年目になる。遺族の共通の思いである「遺骨調査・戦地追悼」の連携をさらに広げ、靖国の虚構を打ちくだこう。
 

佐賀県のNPO法人「戦没者追悼と平和の会」を訪ねて(木村)

 
 

塩川さん(左)と横川さん(右)

 
 

塩川さん(右)とともに

 
 

貝島石炭記念館

 
 

教室跡で横川さんの説明を聞く

 
 

謝恩碑

 4月27〜28日佐賀にあるNPO法人「戦没者追悼と平和の会」を訪ねた。昨年末にお手紙を出し、その後手紙と電話でやり取りをしてきた。東京・沖縄・フィリピンと常に巡り活動されている代表の塩川正隆さんに会うのは初めてだ。会社兼事務所でお話を伺った。

 太平洋戦争末期1944年8月塩川さんが生まれて1週間後にお父さんは出征。電信36連隊で沖縄へ。戦地から届いた手紙には、「佐賀県のお袋の実家に行け。絶対北九州には帰るな」とあったそうです。戦況をみて家族を守るために出された手紙であったようだ。お母さんには、必ず生きて帰るから靖国には行かないと約束して行かれたそうだ。しかし、1945年6月22日戦死。
 1976年沖縄で遺骨収集する高田さんという方の新聞記事を目にし、1977年「一緒に連れて行って欲しい」と頼み、初めて遺骨収集に参加。戦後30年以上たった洞窟に有るはずがないと思った遺品が散乱しているのを見て、「親父は浮かばれないと思った」と。以来沖縄へは100回以上通っている。「沖縄は戦争の引き延ばしのため捨て石にされた。そのころ、大本営は 東京から移されようとしていた」と話される塩川さんから、沖縄で戦死されたお父さんへの無念の思いが伝わってきた。

 塩川さんはフィリピンでも遺体収容を行っておられる。伯父さんがフィリピン・レイテで戦死されている。山口県で伯父さんが所属した歩兵77連隊の慰霊祭に参列された。そこで出会った永田さんという方が伯父さんの最後を知る人だった。永田さんはレイテ戦最後の結集地カンギポットで最後の一人になり、山を下りた所を原住民にバン刀を持って取り囲まれた。その時、その中の一人が殺すなと言い、米軍に引き渡され生還されたそうだ。翌年、永田さんと共にレイテ島カンギポットへ向かった。これを機に毎年レイテ島への遺骨収集活動を継続されている。

 「父の足跡を探そうとやり始めたが、厚生労働省は早く幕引きすることしか考えていない。遺族会には、元兵士が入って軍のやってきた事を正当化していった。だから遺族は本当のことを知らされていない。国がやらないなら、自分たちでやるしかない。沖縄とフィリピンをメインにやってきたが、まだいっぱい骨は残っている。骨のあるとこどこへでも行きますよ」と語る。北朝鮮に残る日本人墓地も、国交のない北朝鮮に直接手紙を送り許可を得て調査されている。ペリリュー島へも行く予定だと話された。移動の車の中では、父親のいない戦後はたいへん貧しい生活を余儀なくされ、毎日いじめられたという話も伺った。

 2日目は 塩川さんの車で貝島石炭記念館へ。ここは一昨年、大阪の証言集会に来日された崔洛(チェ・ナックン)さんのお父さんの足跡を探す中で地名が上がってきた所だ。唯一の手がかりである写真に一緒に写る二人の同郷の人が貝島にいたという事実。とにかく一度見てみたい、崔洛さんも一度お連れしたい場所だ。佐賀訪問が決まってから、共同通信社の角南さんが何度も足を運び、様々な方を訪ね情報を集め知らせて下さった。今回の訪問時にも、その中の一人横川輝雄さんが記念館まで来て下さった。横川さんは、筑豊に住み朝鮮人の強制連行について長年にわたり調査されてきた。

 一緒に見学した石炭記念館は、当時会社が所有した学校の校舎が使われていた。館の職員の方から、展示を見ながら説明を聞いた。あちこちに古い写真が展示されている。崔洛さんの写真に重なる建物がないか。説明して頂いている職員の方には申し訳ないが、そちらの方が気にかかる。いくつかの写真には朝鮮人が住んでいた「啓心寮」という建物が写っている。

 一通り見学の後、教室跡の部屋で横川さんから写真から推測できる事を聞いた。●写真の建物は使われている板が厚いので、林えいだいさんも在日の人も貝島の建物でないとの推測であること。●同郷の二人が貝島から逃げたと記録にあるので、お父さんも逃げたのではないかということ。●当時、在日の人が飛行場建設とかやっていたので、そういう所に入り、西本建設から名前の変わった三井建設(家にあった灰皿にこの名前が記されていたという証言)にいたのではないかということ。また塩川さんからは、寮の造りがどの地方のものか専門家に聞いてみる。「三井建設」から調べることも可能では、等々の示唆をいただいた。
 その後、朝鮮人が建てたといわれる「謝恩碑」をみた。この碑は戦前に建てられたものだが強制連行が始まると、この碑の前で「お前たちの先輩が建てた。安心して働け」と利用されたという。戦後のものだという露天掘りの跡も見に行った。水たまりと聞いて行ったが、広大な池だった。

 佐賀訪問は、この地で未だ解決されていない戦争の傷跡を丁寧にたどり明らかにすることにこだわっておられる方々に出会う事ができた。ぜひこの地で証言集会を持ち、韓国の李煕子さん、崔洛さんとも交流し遺体収容を韓日共同の行動としていきたい。
 

遺族証言集会を九州で開催予定

6月22日(土) 9〜12時 久留米ハイネスホテル
6月23日(日) 福岡(詳細未定)
     来日者:李煕子(イ・ヒジャ)さん・崔洛(チェ・ナックン)さん
     詳細は追ってホームページでお知らせします。

日本弁護士連合会が意見書を厚生労働大臣宛てに提出

 NPO法人「戦没者追悼と平和の会」が2006年に行なった「日本政府の戦没者に対する扱いが人権侵害の疑いがある」とした救済申し立てを受けて、日弁連が昨年11月28日付で厚生労働大臣宛に意見書を提出しました。

日本本土以外の戦闘地域・抑留地域における戦没者の
遺体・遺骨の捜索・発見・収容等の扱いに関する意見書

(意見書の趣旨)
@ 未だ収容されていない日本本土以外の戦闘地域・抑留地域における戦没者113万余名の遺体を捜索・発見・収容すること。ただし、その対象を軍人、軍属及び準軍属に限定しないこと。また、遺体の捜索・発見・収容に際しては、戦争により被害を受けた現地の国民感情、住民感情に十分配慮して行うものとすること。
A 千鳥ヶ淵戦没者墓苑に収蔵される戦没者遺骨の取扱いについては、一般の宗教的感情に配慮しつつ、収蔵過程の透明性を確保するとともに、同墓苑の設置管理運営全般の適正化に留意すること。
B 発見・収容された戦没者の遺体・遺骨の身元調査の目的を遺族への遺体・遺骨の引渡しに限定することなく、名を記して追悼されるためにも、遺体・遺骨の個体性の有無を問わずできる限り検体を採取してこれを保管し、広く遺族にも試料提出を呼びかけるものとすること。なお国は、上記政策を速やかに実施するに当たっては、国が現に保管する戦没者遺骨の全てにつき、その再焼骨を中断した上で、法律を制定して、実効的な取組に着手すべきである。


◆ 詳細は日弁連のサイトをご覧下さい。
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/121115_9.html
 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_121115_9.pdf
 

強制動員真相究明全国研究集会開かれる

 

第6回全国研究集会

 

 3月30日東京大学駒場キャンパスで、「第6回強制動員真相究明全国研究集会」が開催された。メイン報告は、金廣烈氏「韓国での研究の現状と課題」、竹内康人氏「日本での研究の現状と課題」、そして、太田修氏「日韓会談研究の現状と課題」の3本。

 金氏からは、労務動員、兵力動員、被害者補償・遺骨問題、女性性搾取問題について戦後の取組みがトータルに報告された。その中で特に、無謀な戦争を暴く経済史研究の必要性や戦後補償をめぐる韓・日両国市民交流史の必要性は注目された。竹内氏からは、1940年代からの強制連行・動員資料を誰でもが使えるように各年代別に整理した報告がなされた。この強制動員の真相究明を過去清算・植民地支配を問う民衆運動として、アジアの平和をめざし、真実の共有が強調された。太田氏からは、日韓請求権協定が解決した「請求権」とは、「領土分離の際の国の財産及び債務の継承関係」から生じた「請求権」であり、当然のことながら、植民地支配や強制動員に対する補償は未解決であることが強調された。

 今回の研究集会で私の興味を引いたのは、地味ながらも、しかし、たゆまぬ努力が続けられている真相究明、戦後補償実現の全国各地での取組みであった。報告は9本。奈良からは、「朝鮮人強制連行等に関わる資料を発掘する会」の活動、滋賀県からは、朝鮮人強制動員労働者の主な「移入」先の調査、特に、両者とも韓国と共同の調査を実現してきていることである。さらに、長野県では、2010年に「松本強制労働調査団」、「松代大本営の保存をすすめる会」「平岡ダムの歴史を残す会」などを中心に「長野県強制労働調査ネットワーク」が結成され、共同のフィールドワーク、報告集作成等をめざし、ここでも韓国との共同の調査が実施されているのである。

 続いて、強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動からは立法化をめざした取組みが、浮島丸事件では遺骨の未返還問題や共同の納骨施設づくりの問題が、さらに、「慰安婦」問題では、「慰安婦」問題を否定しようと企図する安倍内閣が国連の場では「安倍総理大臣は従軍慰安婦問題で筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々に心を痛めている。ただ、これを政治的、外交的問題にすべきでない」(国連代表部大使)などゴマかそうとしている動向の報告がなされた。また、韓国から、日本から韓国に渡された「旧日本海軍朝鮮人軍属関連資料」の説明がなされた。本来、日本が全ての資料を明らかにし、分析し、金銭的のみならず、遺族の追悼のための手立てを積極的に供さなければならないものである。さらに、山口県宇部の「長生炭鉱の“水非常”(水没事故)を歴史に刻む会」の追悼碑建設の取り組みは、会の日韓の被害者・遺族の溝を埋める努力に敬意を表するとともに、なおかつ、今なおその溝が横たわっている現実を明らかにしている。建立された碑は一体でありながら、しかし日本人、韓国・朝鮮人二つの追悼碑が立つことになったのである。最後に、強制連行強制労働犠牲者を考える北海道フォーラムから「遺骨問題をめぐる和解の道程は、東アジアの歴史和解のなかにあって、重要な、独自の意味」があるとし、北海道での積極的な取組みの報告が行われた。翌日は朝鮮人強制労働が行われた東京高尾の浅川地下壕の見学・フィールドワークも行われた。

 今年6月で、日本の本真相究明委員会発足の契機となった韓国の強制動員被害者真相糾明委員会(現、対日抗争期強制動員被害調査及び強制動員犠牲者等支援委員会)が終了しようとしている。日本での活動がいよいよ重要になっている。

5・29 ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟控訴審第1回口頭弁論
     満杯の傍聴で成功させよう!


 2011年7月21日の不当判決から2年弱。いよいよ、ノー!ハプサ訴訟の控訴審が始まります。当日は原告の意見陳述も行われます。ぜひ、満杯の傍聴者で原告を支えたいと思います。

日時:5月29日(水)午後3時〜4時
場所:東京高裁101号大法廷(最寄駅:東京メトロ霞が関駅A1出口すぐ)
    ☆傍聴券が配布される予定ですので30分前には裁判所正面玄関横に集合してください。
    ☆裁判終了後、弁護士会館でまとめの集会を開催予定です。

読書案内

  『フォトドキュメント  骨の戦世(イクサユ) 65年目の沖縄 戦  

 
   

       比嘉豊光・西谷修 編  岩波ブックレット  800円+税

 再開発がすすむ沖縄。その中の道路工事現場から出た頭蓋骨から脳みそが転がり出た。震える手でシャッターを切る比嘉豊光は「『骨たちの反乱』とのメッセージが死者たちから届いた」と。遺骸がブルドーザーで粉々に砕かれていく光景に危機感をもった具志堅隆松さんは文化財を発掘する手法で、手作業で発掘を続ける。骨の側には、軍靴、万年筆、印鑑など遺留品が。そこから、兵士がどのように死んでいったのかが見えてくるのだという。
 「放置された遺骨」に対して、あまりにも無関心すぎたと改めて思わされた1冊でした。(大幸)

GUNGUNインフォメーション

5月25日(土) 「何度でも語る歴史の事実はこれです」〜再び戦争への道を歩まないために〜 in おおさか
            13時〜 ドーンセンターホール(地下鉄谷町線・京阪「天満橋駅」東へ約350m)
            被害者証言:金福童(キムボクトン)さん/吉元玉(キルウォノク)さん
            主 催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
5月29日(水) ノー!ハプサ訴訟控訴審第1回口頭弁論
            午後3時〜 東京高裁101号大法廷(最寄駅:東京メトロ霞が関駅A1出口すぐ)
              ☆傍聴券が配布される予定ですので30分前には裁判所正面玄関横に集合してください。
              ☆裁判終了後、弁護士会館でまとめの集会を開催予定です。
5月29日(水) 2013年ヤスクニキャンドル行動事前企画第2弾「ヤスクニと韓国人合祀」
            午後6時30分〜 大阪経済法科大学麻布台セミナーハウス5F 参加費500円
            講師:南相九(ナム・サング)さん(韓国・東北アジア歴史財団研究員)
            主催:キャンドル行動&ノー!ハプサ
5月30日(木) 李煕子さんからの報告と交流の集い(大阪)
            午後6時30分〜 エルおおさか(701号室)(地下鉄・京阪「天満橋」駅下車5分) 参加費500円
            主催:靖国合祀はイヤです・アジアネットワーク
6月 1日(土) 第25回自衛官合祀拒否訴訟最高裁不当判決抗議集会
            午後1時30分〜 山口県県政資料館 資料代500円
            李熙子さんの報告:「ノー! ハプサ裁判と私」
            主催:「合祀いやです」少数者の人権を求める会
6月11日(火) 強制労働立法推進日韓共同行動 院内集会
            午後3時〜 参議院議員会館(予定)
            韓国で行われている三菱、新日鉄等の裁判の状況報告を含め報告
6月15日(土) 日韓会談文書・全面公開を求める会シンポジウム
          外務省は何を隠したいのか?〜新たに開示された日韓会談文書から見えるもの〜
            午後1時30分〜 港勤労福祉会館第1洋室 参加費500円
            (JR山手線・京浜東北線田町駅西口(三田口)徒歩5分、都営浅草線・三田線三田駅A7出口徒歩1分)
            主催:日韓会談文書・全面公開を求める会
6月22日(土) 遺族証言集会 9〜12時 久留米ハイネスホテル
6月23日(日) 遺族証言集会 福岡(詳細未定)
6月25日(火) ヤスクニ・キャンドル行動 第3回事前学習会
          講演:「アジアは『国防軍』化を許すのか」(講師:前田哲男・ジャーナリスト)
            午後6時30分〜 大阪経済法科大学麻布台セミナーハウス(地下鉄「神谷町」徒歩5分)
6月26日(水) 東京総行動 新日鉄については、15:45から 当日株主総会のある三菱、不二越にも要請予定。
7月 9日(火) 日韓会談文書開示請求第3次訴訟控訴審第1回口頭弁論
            午前11時〜 東京高裁809号法廷
7月26日(金) 第26回 政教分離訴訟 全国交流集会
            午後2時〜 愛媛県美術館 講堂(松山市堀之内) 参加無料
            講演:田中 伸尚(のぶまさ) さん
8月10日(土) 平和の灯を!ヤスクニの闇へ 2013キャンドル行動
            13時〜18時 在日本韓国YMCA(JR「水道橋」「御茶ノ水」、地下鉄「神保町」)
            シンポジウム/高橋哲哉・金東椿・内海愛子・志葉玲  遺族証言/韓国・沖縄・東アジア地域から
            コンサート/ソン・ビョンフィ、ムン・ジンオ他
            キャンドルデモ