在韓軍人軍属裁判を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.62 (2011.2.20発行)

昨年ソウルでの太平洋戦争被害者補償推進協議会10周年集会で
(2010年8月30日)

国の靖国合祀手続きを憲法(政教分離)違反と断罪!
韓国人の遺骨調査要求を政府に突きつけよう!

 12月21日大阪高裁は、「靖国合祀イヤです訴訟」控訴審判決で、「国は、靖国神社の行う合祀という宗教行為そのものを援助、助長し、これに影響を与える行為を行っていたということができる」と憲法(政教分離)違反を認定しました。初めての違憲判決として大きな一歩と言えます。しかし一方で「法的利益侵害はない」として原告の請求を棄却しました。判決は「社会一般の基準に照らせば合祀がその対象とされた者の社会的評価を低下させるものであるとは認められない」としています。GUNGUNとノーハプサの場合、原告は韓国人であり、この論理は通用しません。GUNGUN上告審で違憲判断をするか、被侵害利益を認めるかどうかが最大の争点になります。
 12月14日、硫黄島で遺骨収容作業を視察した菅直人首相は「遺骨を家族の待つ地にお返ししなければならない。これは責務だ」と述べ、他地域も含めた遺骨収集作業の本格化を名言しました。硫黄島では21900人戦没者のうち少なくとも170人は朝鮮人です。行政主体の遺骨調査をはじめDNA鑑定を含めた韓国人遺族の要求を強めましょう。

新年も元気で幸せな年になりますように
                            韓国・岩手からのメッセージ

 
 

金幸珍さん、李炳柱さん、李熙子さん

李煕子(イ・ヒジャ)さん(太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表)より
 GUNGUN裁判支援者の皆様へ
 2010年、去る1年は被害者にとって意味のある年。植民地支配された民族の辛い苦痛を心と体で経験した100年。
そのような過去の痛みを振り返ってみることのできる多事多難な1年、皆様の思いやりがあったため、美しいこともありました。 心からありがたく、感謝いたします。
 2011年、辛卯年、うさぎ年 本年も皆様と暖かい心を分かち合い、本年も皆様と一緒に希望をつくり、本年も皆様と痛みを分かち合い、笑い、皆様の暖かい心で希望の花を咲かせ、皆様の暖かい心で実を結び、皆様の暖かい心で 共に一生懸命努力する2011年になるよう祈ります。
 皆様の家庭に幸せな笑い声が満ちますように。

追伸:古川さんが李炳柱(イ・ビョンジュ)会長に渡してほしいとおっしゃっていたものは、先日1月7日に李炳柱会長のお宅へ行ってやっと渡すことができました。会長の健康はそれなりに良好でした。会長がみなさんの思いやりが力になって健康を取り戻している、感謝していますとおっしゃっていました。今日も電話で話をしました。
 2011年ももっと元気に満ちた足取りで、明日の希望に向って挑戦していくつもりです。毎日が楽しい日になりますよう、お体にお気をつけ下さいませ。 イヒジャより


金幸珍さん(キム・ヘンジン)さん(ブーゲンビル生存者)より

 また2011年なる新年になります。10年間といえば「春夏秋冬」が10数回変わるその間にも梅花盛香の時、白浜温泉の時が特に忘れられない思い出になりますね!格別にご家族はじめ、皆様ご健康を頼みます。また終わっていない太平洋戦争の始末が残っております。よろしく支援してください。卯年にも相変わらず頼みます。 金幸珍

 

 
   

岩淵宣輝さん(岩手・NPO太平洋戦史館会長理事)より
 3月は西部ニューギニアで遺骨収集です。現在の状況は、@来年度の企画競争(厚生労働省委託事業)の準備でてんてこ舞い。そのほかは、A昨年の遺骨情報収集の最終報告書お手直し作業中。B3月の政府派遣団の現地手配を業者に代わって手配中、C常設展示来館者対応、D雪かき、展示室掃除、炊事、E戦史館次号会報原稿整理、F3月1日からの遺骨収集参加者全員との連絡調整業務 G「なぜ、遺骨収集続けてるのですか?」想定問答集製作中(インドネシア語訳して巡礼地で活動趣旨理解して貰うため)
 他にもいろいろ仕事はありますが、韓国関係、目下何もありません。インドネシアの未帰還兵捜索には、インドネシア兵補と台湾・韓国軍人軍属の問題があり、その事を今年は国際的に公表するつもりです。岩淵 宣輝
 ※今春、GUNGUNでは、ニューギニア関連の韓国遺族と一緒に岩手に訪問する計画です。
 

韓国強制併合100年、日韓弁護士会が初の共同シンポジウム
共同宣言、「慰安婦」問題解決のための提言を採択!(御園生)

 12月11日、日本弁護士連合会と大韓弁護士協会の主催で、共同シンポジウム「戦争と植民地支配下における被害者の救済に向けてー韓国併合100年を機に過去・現在・未来を考える」が開催された。韓国強制併合100年を期して開催されたものであるが、両弁護士会が共同してシンポを開催し、提言を待つめるのは、初めてのことである。

 開会の挨拶で、大韓弁護士会の梁三承(ヤン・サムスン)副会長は「宣言は、日韓のあるべき未来を創る礎石になると確信」と挨拶。両国の国会議員も李庸變(イ・ヨンソップ)さん、神本美恵子さん(民主党)も挨拶をした。
 基調報告をした鄭載勳(チョン・ジェフン)弁護士は、解決すべき課題として「慰安婦」、強制動員被害、未払い金、文書公開などをあげ、「日本政府は、高齢化した被害者が無念の思いを抱いたままこの世を去るのを待ってはならない」とし、補償立法の制定を急ぐよう訴えた。また、今後の共同の活動として、基金・財団設立、供託金返還、厚生年金などの研究テーマをあげ、企業と政府への公式要請、広報活動などを行うことを提起した。 

 
 

昨年併合100年宣言でハルモニ

 パネルディスカッションは、@日本軍「慰安婦」問題、A強制連行・強制労働、Bその他の未解決な課題について、被害者、国会議員、弁護士らから報告・コメントが行われた。グングンの原告である李侖哉(イ・ユンジェ)さんも強制動員被害者の遺族として報告した。
 コメンテーターの阿部浩己・神奈川大学法科大学院教授は、「国際法の視点は、国家中心から人間中心に大きく変わりつつある。特に、女性に対する暴力・人身売買は容認しないというのが21世紀の共通認識だ。ハーグ条約など当時の国際法にも違反することが次々と明るみに出された。そして、過去の問題であっても調査・訴追・処罰がされなければ、現在の違反になると見る法理論が発展している」と国際法の発展を強調。事前に明らかにされた「日本軍『慰安婦』問題の最終的解決に関する提言」についても「これまでの10件の慰安婦訴訟では、事実を認定し、国際法違反としている。最高裁もこの判断を否定はしていない。今後は、実現のための決断が問われている。『提言』は日本がとるべき措置として、当事者と国際社会に受け入れられるものだ」と報告した。

 共同シンポジウムは、最後に、「日本軍『慰安婦』問題の最終的解決に関する提言」と「日本弁護士連合会と大韓弁護士協会の共同宣言」を採択して終わった。
 共同宣言は、「アジア太平洋戦争時の韓国民に対する人権侵害による被害の回復を求めて宣言する」とし、「慰安婦」問題、日韓請求権協定文書の完全公開、強制動員被害者・基金の問題に加えて、供託金や郵便貯金、在日韓国人の問題、遺骨問題、文化財問題等を指摘し、「今後、すでに指摘されている個別的争点を調査・検討するための共同の委員会を設立することなど、持続的な調査研究及び交流を通して、被害者らの被害が回復されるその日まで協働する」ことを宣言。1回のシンポジウムにとどまらず、「解決」するその日まで、継続して取組むことを宣言した、画期的な宣言である。

2・25強制労働被害者補償立法をめざす集い
2月25日(金)18時 星陵会館4階会議室(地下鉄永田町駅6番・国会議事堂駅5番出口)
 

韓国人遺族の「遺骨と記録を!」の切実な声に応えるために(古川)

 昨年10月に行われた「韓国・朝鮮の遺族とともに 遺骨問題の解決を」の証言集会では、韓国人遺族の「遺骨と記録を」という悲痛な声を直接聞いて、改めて遺骨調査や記録の発掘が急務の課題であることが浮き彫りになりました。

 
 

硫黄島の戦闘

硫黄島戦没者21900人のうち少なくとも170人は朝鮮人
 
 昨年12月14日に硫黄島での収容作業を視察した菅直人首相は、「遺骨を家族の待つ地にお返ししなければならない。これは責務だ。一人でも多くの遺骨の帰還につながるよう、全力を尽くす」と述べました。また他地域にも広げる意向だといいます。厚労省によると、戦後66年たつ今、海外戦没者約240万人のうち、114万人の遺骨が戻っていないことを明らかにしています。硫黄島の資料には、飛行場滑走路西側に約2000人、摺鉢山山麓に200人規模で埋葬されているとの記述があり、試掘で51体の遺骨が見つかっています。硫黄島での戦死者は21,900人、そのうち少なくとも170人が朝鮮人であることが判明しています。

遺骨調査に対するこれまでの政府の消極的な姿勢

 これまでの国会答弁を見ると、遺骨収集に関する厚労省の考えはこうです。
 「昭和27年6月16日の「衆議院海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会における海外諸地域等に残存する戦没者遺骨の収集及び送還等に関する決議」を踏まえるとともに、厚生労働省設置法及び「米国管理地域における戦没者の遺骨の送還慰霊等に関する件」(昭和27年10月23日閣議了解)に基づき、戦没者の遺骨収集を行ってきており、これまでに約32万の戦没者の遺骨を収集してきた」と。

 

ニューギニアに放置された遺骨

 

 要するに遺骨収集をするための根拠は国会決議と閣議だけで、戦後66年を過ぎた今なお法律は存在しないのです。いかに遺骨調査への姿勢が消極的だったかがわかります。しかし消極的な対応を隠すために、厚労省はHPで次のように援護行政を紹介しています。「海外などからの戦没者の遺骨の御帰還は、昭和27年度から南方地域において始まりました。その後、平成3年度からは旧ソ連地域における抑留中死亡者について、更に平成6年度からはモンゴルにおける抑留中死亡者についても遺骨の御帰還が可能になりました。この結果、これまでに約32万柱の遺骨が御帰還し、陸海軍部隊や一般邦人の引揚者が持ち帰ったものを含めると、海外戦没者約240万人のうちの約半数(約126万柱)が御帰還しています。戦没者の遺骨が残されている地域には、相手国の事情や海没その他の自然条件等により御帰還ができない地域等が残されていますが、今後も現地政府などからの残存遺骨情報の収集に努め、そうした情報に基づき、遺骨の御帰還を実施することとしています。」と。そして戦没者遺骨のDNA鑑定状況(平成23年1月31日現在)として、平成22年度: 判明35件、否定52件、計87件という数字を紹介しています。
 しかし厚労省の実態は、決して積極的ではありません。それは先ほどのHPに「厚生労働省では、南方地域からの今後の遺骨帰還の促進を図っていくため、平成18年度から、民間団体等の協力を得ながら、フィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモン諸島、インドネシアにおける未帰還遺骨の集中的な情報収集を実施しています。この事業は、民間団体等に委託して実施しておりますが、・・・それらの地域における戦没者の残存遺骨情報をお持ちの方は、遺骨の所在・様子がわかる資料を添えて下記へ御連絡をお願いします。」という文からも明らかです。民間に丸投げする弊害として、NHKで放映された「フィリピン人墓地の遺骨が日本人戦没者遺骨として売買された問題」が浮上しているのです。また厚労省が委託する「民間団体」の中心が靖国を擁護する「日本遺族会」であることも、大きな問題です。

 岩手県にあるNPO法人・太平洋戦史館会長理事の岩淵宣輝さんは、父をニューギニアで亡くした遺族として、こうした厚労省の問題を早くから指摘し、ニューギニア現地での遺骨調査を自前で実践しておられます。

「太平洋戦史館ニュース」12月号から
 西部ニューギニアを含むインドネシア方面の情報収集事業は、3月までに5回の情報収集派遣を計画していますが、12月現在で第4次派遣まで辿りつき、4回の派遣を通してこれまで確認できた旧日本兵の遺骸情報は4百体を越えています。たとえばセンタニ湖畔のプアイ村、2009年12月の遺骨収集で崖の断層や生活ゴミが堆積する地層から日本兵の遺骸を発掘し77体が確認された村。8月の第2次派遣では村人が毎日昇り降りする階段の一番下の地面に埋まっている頭蓋骨を発見しました。

日韓の戦没者遺族の交流を深め政府への働きかけを強めよう

 西部ニューギニアでは、岩手の岩淵さんたちの努力が続けられています。その遺骨のうち約1%は朝鮮人のものだと考えられます。
 昨年10月の証言集会で来日した南英珠(ナム・ヨンジュ)さんは、兄・南大鉉(ナム・テヒョン)さんをニューギニアのヤカムルでの「戦死」で失っていますが、近年まで死亡確認も放置され、遺骨も分からないままでした。「遺骨がなぜないのか、調査はしてみたのか、日本に訊ねたい」という憎しみの思いで南英珠さんは来日されましたが、証言集会スタッフや参加者との交流を通じて、信頼関係が深まりました。継続のために、この3月に南英珠さんを岩手の太平洋戦史館にお連れし、岩淵さんと交流していただこうと思っています。韓国政府主催の西部ニューギニアへの慰霊巡拝も今年後半に計画されていることもあり、絶好の機会だと考えています。
 おびただしい遺骨が現在も放置されている実態を通じて、そもそも無謀な作戦を計画した日本の責任、その責任を合祀によって覆い隠してきた靖国神社の役割、無謀な作戦に駆り出された朝鮮・台湾人の遺骨が千鳥が淵戦没者墓苑に入れられているにも関わらず墓苑に事実表記がない問題など、今後の運動につなげていきたいと思います。引き続きご支援をよろしくお願いします。

ニューギニアで遺骨を調査する岩淵さん 岩淵さんと高仁衡さん 南英珠さん

在特会襲撃裁判を傍聴して(中田)

 
 
 

在特会の横暴

 2月15日京都地裁で「在特会らによる朝鮮学校に対する襲撃事件裁判」(略称:朝鮮学校襲撃事件裁判)の第3回の口頭弁論が開かれました。ご存じのとおり、在日特権を許さない市民の会(以下在特会)は「在日韓国人・朝鮮人(以下、在日)問題を広く一般に提起し、在日を特権的に扱う、いわゆる在日特権を無くすこと」を目標に、特定の民族(在日コリアン)に対する人種差別・排除を目的として結成された団体です。2009年12月4日、この在特会と主権回復をめざす会約10名あまりが京都朝鮮第一初級学校を「襲撃」した事件の半年後の昨年6月28日、学校法人京都朝鮮学園を原告として、在特会と朝鮮学校を襲撃したメンバーに対して@ 京都朝鮮第一初級学校周辺で、学校関係者らに対して面談を強要したり、拡声器を使用し、又は大声を上げるなどして、原告を非難、誹謗中傷するなどの演説シュプレヒコールをすること、原告を非難、誹謗中傷する内容のビラを配布すること、誹謗中傷するような文言を記載した旗や幟を掲げ、佇立、又は徘徊することの禁止。A在特会らが行った街宣等の行為により被った精神的・物理的損害に対して、また、仮処分決定を無視し、具体的な襲撃行為も含めた3回にわたる彼らの行為による精神的・物質的損害に対し各々1,000万円、合計3,000万円の支払いを求める民事訴訟が提起されました。
 「北朝鮮のスパイ養成機関、朝鮮学校を日本から叩き出せ!」「スパイのこども!」「キムチくさいねん」「朝鮮やくざ」「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島へ帰れ」など、彼らの人種差別的な言辞は「ヘイトスピーチ」として犯罪としてはもちろんのこと、民事事件においても厳しく裁かれなければなりません。日本政府は、人種差別撤廃条約の第4条(a)(b)(人種的優越主義等の思想のあらゆる流布、またそうした団体の活動やそれらへの参加が法律で処罰されるべき犯罪であることを宣言すること。)を表現の自由などを口実に留保していますが、今回の裁判は、「ヘイトスピーチ」を日本の司法に認めさせる裁判としてたいへん重要な意義を持っています。

人種差別撤廃と民族教育権の正当性を問う裁判

 

判決後の報告集会

 

 また、この裁判の代表世話人である板垣 竜太さん(同志社大学教員)はこの裁判が「人種差別撤廃と民族教育権の正当性――世界史的な意義のある裁判」であるとして「今回(の裁判)は、損害賠償に加えて、普遍的なことに触れていることが非常に重要だと思っています。一つ目は人種差別撤廃、二つ目は民族教育権です。この二つを正面から論じており、どちらも未だ実現されていないわけです。2009年12月4日の事件は明らかに人種主義であるわけですが、朝鮮学校襲撃事件は明らかに人種主義であり、それを規制する法律が日本には無い。また、朝鮮半島情勢に「高校無償化」が左右されたことに表れているように、民族教育権が保障されていない。それが法の場に出ていることに感動しました。これは、歴史的な課題に立ち向かう裁判だと思います。私は、歴史を三つの層に分けることができると考えています。第一に植民地支配のなかで培われた人種差別・人種主義がある。第二に、植民地支配が公式的には終わった後に冷戦が始まり、社会主義や「アカ」というものに対する嫌悪感が重なっていく。第三に、冷戦が終わりグローバル化の時代を迎え、アメリカを中心に「テロリスト」と名指せば何をしてもよいという現代的な差別がある。これら三つの層が全部出てきているのが本事件だと思います。その意味で、日本のみならず、世界史的な意義をもった裁判だと思います。今後も支援していきたいと考えています。」と述べておられます。在特会らの「人種主義」を克服するためにも過去清算・戦後補償が重要な課題であることを改めて認識させられた公判でした。

ノー!ハプサ第18回口頭弁論報告
徐勝(ソスン)立命館大教授が証言
植民地支配からの独立を謳った大韓民国憲法前文に言及

 

 

徐勝(ソスン)さん

 
 

3・1独立運動のレリーフ

 11月22日に開廷された第18回口頭弁論は、1時10分からの傍聴券抽選は、配布傍聴券88枚に対して傍聴希望者87人ということで、並んだ希望者は全員傍聴券を受け取ることが出来ました。その後、遅れてきた方もいらっしゃって、傍聴席は、満席で開廷されました。
 最初は、原告側が申請した学者証人である立命館大学教授の徐勝(ソスン)さんに対する証人尋問でした。徐勝さんの証言で非常に重要な点は、大韓民国憲法前文に言及した点でした。大韓民国憲法「前文(抄)」は、「悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び、不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し…」とまさに、日本の植民地時代における三・一独立運動の歴史を高らかに謳っているのです。
 靖国神社は被害者を今でも日本軍の兵士として創氏名で合祀したままですが、韓国では国の根幹である憲法で建国の精神として日本植民地支配からの独立をうたっているのです。合祀され続けることが遺族の社会的立場に影響しないはずはありません。
 靖国神社代理人は「海外には何年くらい滞在しているのか」等、徐勝氏が「日本社会をも十分に知悉する在日韓国人の立場」にないと印象付けるような質問を繰り返していましたが、「20年以上です(韓国で19年政治犯として拘束されていたため)」と徐勝氏と反撃にあう始末でした。
 徐勝さんの証言の後は、原告の金希鍾(キム・ヒジョン)さんと、林福順(イム・ボクスン)さんの聞き取り映像が上映されました。原告証言が、「聞き取り映像」という形でしか行なえないことの意味は重大で、まさに原告には時間が無いのです。
「聞き取り映像」に続いて、原告側が提出した「(09年・10年)8.15靖国」(約20分)が上映されました。裁判の意義を理解して頂いた撮影者から提供された映像を編集したものでしたが、軍服を着た参拝者やあの田母神がインタビューに応えているところに、「ドイツだったら逮捕されますよ!」との意見が飛び出し、うろたえる場面もあり、8月15日の靖国神社の異常な姿を明らかにすることができました。一方、危機感を抱いたのでしょう、なんと靖国神社から、「平成22年8月15日の被告靖(ママ)國神社の社頭の状況」のDVDが提出されました。
 次回、2月24日の第19回口頭弁論が最終弁論となります。原告の李熙子さんが参加され意見陳述を行う予定です。また、26日には李熙子さんを講師にキムチ講習会も開きます。ぜひ、多くのみなさんの参加をお願いします。

ノー!ハプサ第19回(最終)口頭弁論 
  2月24日(木)13時30分 東京地裁103号法廷   

 

李煕子さんのキムチづくり講習会(要予約:045-531-2814 FAX可)
  2月26日(土)13時30分 大田文化の森創作工房調理室
    (JR京浜東北線大森駅西口からバス「大田文化の森」バス停下車)
    一般1500円 高校・大学生1000円 中学生以下無料

 映画案内

 『 帰還証言 ラーゲリから帰ったオールドボーイたち』
  《前篇:満州からシベリアへ:70分》《後篇:シベリアから帰国:90分》

 
   

 シベリア強制抑留体験を語る31人へのインタビューが坦々と続く映像記録。監督いしとびたまさんの疑問「60〜70万人もの人が、しかも青年達が満州からシベリアへどうやって連行されたのか?」が抑留者を訪ねるきっかけだったと。文字でなく体験者が語る映像からは、今ここで語り残さねばという思いが直接伝わってくる。「棄兵、棄民」等を詠んだ短歌が紹介される場面、帰国後「神社・仏閣には一度も手を合わさない」と吐き捨てるように語られる場面等、会場に共感の声がもれる場面が多数あった。後篇のシベリア体験は生々しい体験が積み重ねるように語られていく。GUNGUN原告の李炳柱さんも登場する。これをきっかけにシベリア抑留を知って欲しい価値ある映像だ。(木村)

GUNGUNインフォメーション

2月24日(木) ノー!ハプサ第19回(最終)口頭弁論 
  13時30分 東京地裁103号法廷
2月25日(金) 強制労働被害者補償立法をめざす集い
  18時 星陵会館4階会議室(地下鉄永田町駅6番・国会議事堂駅5番出口) 500円
2月26日(土) 李煕子さんのキムチづくり講習会
  13時30分 大田文化の森創作工房調理室(JR京浜東北線大森駅西口からバス「大田文化の森」バス停下車)
  一般1500円 高校・大学生1000円 中学生以下無料
3月16日(水) 沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟控訴審第1回口頭弁論
  11時 福岡高裁那覇支部
3月27日(日) 韓国併合100年ネット総会  11時 龍谷大学大宮学舎西黌2階大会議室
  14時 講演会(大学主催)「龍谷大学図書館と安重根義士祈念館との学術研究講演会」
      清和館3階(京都駅から北西へ徒歩10分:七条通り大宮角、西本願寺南側)
4月3日(日)東アジア歴史・人権・平和宣言実行委員会シンポジウム
  「ダーバン宣言の東アジア版をつくろう〜植民地主義と人種差別の歴史を超えて〜」
  10時〜18時 明治大学・リバティータワー・1001番教室
      (JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅 下車徒歩3分)