在韓軍人軍属裁判を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.54 (2009.7.17発行)

ソウルで開かれたGUNGUN裁判
原告集会で(09年5月18日)

遺骨は靖国の虚像を語る 
今年もヤスクニキャンドル行動に参加を!

 7月8日、祐天寺で保管されていた朝鮮人軍人軍属の遺骨44体の日本政府から韓国政府を通じて遺族への返還が行われました。2008年1月(101体)、同年10月(59体)に続いて3回目になります。この日韓国政府からは権哲賢駐日韓国大使と「日帝強占下強制動員被害真相究明委員会」のキム・ヨンボン委員長が、日本政府からは橋本聖子・外務副大臣と渡辺孝男・厚生労働副大臣が出席。キム・ヨンボン委員長は「このような過去の過ちが二度と繰り返されることのないよう努力していかなければならない。労働者として強制動員された方々の遺骨はまだ数え切れないほど多い。この方々の遺骨も返還できるよう、国家としての取り組みを強化していく必要がある」と述べました。
 まだ戦地には数十万の遺骨が放置されています。太平洋戦史館(岩淵宣輝代表)はパプアニューギニアへの遺骨調査を継続し、この1年半に3回、計106体の遺骨を持ち帰っています。その1パーセントは朝鮮出身兵士のものと想定できます。戦争の真相を明らかにし、靖国の虚像を浮き彫りにさせるためにも遺骨調査を粘り強く日韓両政府に要求していかなければなりません。

 GUNGUN裁判の判決日はまだ未定ですが決定次第お知らせします。公正判決要請ハガキを継続しますので、まわりの人に協力を呼びかけてください。
 今年も「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」が取り組まれます。ぜひご参加ください!
 

私たちは、公正判決を求めます!
この夏の連続行動を成功させ、戦後補償実現・靖国合祀取消を勝ち取っていこう!

 この夏、グングン裁判、戦後補償・ヤスクニ裁判は、暑い夏を迎えています。何も解決できず、一歩も前進させることのできない政府・与党への苛立ちと政権交代の可能性、それによる戦後補償・ヤスクニ問題解決の前進です。
 
今夏の連続する取組みに参加しよう

   
 
 
 

昨年のキャンドル行動

   

 まず、7月24-25日、東京ではノー!ハプサ(合祀)が主催する「政教分離全国集会」が開かれ、同日、関西・神戸では日本の「真相究明ネットワーク全国研究集会」が開催されます。いずれも今の日本にとって重要な集会です。前者は、靖国合祀裁判と北海道で勝利判決を勝ち取った政教分離訴訟が一同に会する取組みであり、後者は、この間進めてきた遺骨返還などの前進を踏まえての集まりです。両者ともグングン裁判にとって重要な意義を持つ取組みです。
 25日午後から26日にかけては、反ヤスクニ・キャンドル行動のプレ企画である「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」映画祭が開催され、続いて8月7,8キャンドル行動が行われます。韓国、台湾、沖縄、本土の4地域の人々が持つキャンドルが、夏の東京のヤスクニの闇を照らし出します。
 8月1,2日には、2009ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が神奈川で開催され、韓国から太平洋戦争被害者補償推進協議会執行委員長のキム・ミンチョルさんが来日。靖国合祀問題のみならず、韓国併合100年を視野に戦後補償全般についての討論を深めます。
 8月15日には靖国神社国営化阻止8・15集会(大口弁護士が講演)をはじめ各地で平和を求める取組みが多様に行われます。

状況を変える総選挙に
 
 8月30日総選挙が決まりました。都議選での自民党の歴史的敗北は、国民が長年の自民と支配からの脱却、状況の変化を望んでいることを示しています。戦後補償実現の闘いは、今まで政府自民党により実現を阻まれてきました。「慰安婦」問題はすでに何度となく法案が出され、日本人のシベリア抑留問題、BC級戦犯問題の法案提出が行われてきたところです。自民党敗北により全てが解決するわけではありませんが、この状況を変えるチャンス到来です。

東京高裁での勝利判決を勝ち取ろう

 3月末から、東京高裁への要請ハガキ運動を展開してきました。韓国でも取組みが進められています。今夏、要請ハガキ運動をさらに広げ、一連の行動で情勢を切り開いていきましょう!

 

韓国でも原告・学生中心に要請ハガキ運動を展開中!(韓国・野木さん)

 

李熙子さんと野木さん(右)

 
   

 要請ハガキ運動は、韓国でも進んでいます。作成されたハガキでは東京高裁に「正義と良心に基づいた賢明な判断」をするよう要請し、原告の要求のなかで特に靖国合祀による被害者・遺族の思いが記されています。
 とりあえず印刷されたハガキは、韓国語700枚、日本語300枚。裁判官にきちんと伝わるよう工夫されたものです。ハガキに色や絵を入れて個性の強いものにしようという意見もありましたが、「私のひとこと」欄に思い思いの表現をしてもらうことになりました。
 1000枚のハガキの一枚一枚にそれぞれの思いを書いてもらい、日本の東京高裁に送るのはたやすいことではありません。高齢の原告ひとり一人が家族・知り合い・友人に声をかけ書いてもらうのです。
 この要請ハガキ運動は、日本の東京高等裁判所だけに向けた運動ではありません。グングン裁判ではどのような人たちが原告になっているのか、原告たちは何を主張しているのか、これまで裁判所はどういった反応を示しているのかを知らせていくのも大事な目的の一つです。グングン裁判で取り上げられている問題は、韓国全体でも広く知られているわけではありません。特に靖国合祀問題は、韓国では理解が難しい問題です。韓国人が日本の戦争賛美神社に合祀されている理由がわからないからです。
 だから今、韓国では、各学校で授業を持っている先生や関係者、大学生にもハガキに取り組んでもらえるよう協力を要請しているところです。公正判決要請ハガキ運動を通して、より多くの人にグングン裁判、過去事清算問題を知ってもらい、問題をどのように解決していったらいいか、一緒に考えるチャンスにできるのでは、と期待しています。
 

 

運動の意義と課題を共有した原告集会・訪韓報告(古川)

 GUNGUN裁判の控訴審結審(2月)を受けて、李熙子さんから「これまでの運動の意義と今後の課題を論議する原告集会を持ちたい」との意向を受けて、5月に大口弁護士と支援する会スタッフ計4名で訪韓しました。

5月16日(土)

 関空から金浦へ。到着ロビーで座っていると李熙子さんと崔ナックンさんが迎えに来てくれ、しばらくすると15時頃東京メンバーが到着。国会議員への要請はキャンセルとの事で、いつもの会事務所近くの「スラッカン」で夕食。民族問題研究所の朴ハニョン室長と金ミンチョル推進協議会執行委員長が合流。朴室長からは「国恥100年事業」の構想が語られ、日本の市民団体との共同の取り組みの展開に関する相談がされた。

5月17日(日)

 
 

崩れた石塔

 
 

春川の原告のみなさん

   

 8時半に崔さんの車で春川を目指す。自動車専用道路を快適に飛ばし、10時半には春川の納骨堂に到着。納骨堂の扉から中をのぞくと2005年の草刈りボランティアの際に馬耳山のお坊さんと積み上げた塔が崩れていてビックリ。その後洪ヨンスク会長たちが到着。みんなでまず納骨堂で供養して、その後金景錫さんのお墓にお参りした。遺族会事務所には原告の呂ミョンファンさん、宋ランソクさん、李ナクチンさんが来てくれていた。3人の原告そして洪会長以下役員を前に、GUNGUN裁判の状況を報告し質疑交流した。

 「靖国に遺骨があるという報道がされたことがある。知人が訴状に靖国に遺骨があると書いていると言っていたが真偽は?」「靖国には遺骨はない。訴状にもそういう記載はない。裁判で求めているのは霊璽簿からの名前の削除」「陸軍の元大佐は『遺骨をそんなに収集することはない。魂は日本に帰って靖国に祀られ、天皇がお参りしてくれているのだから』と言った。朱剛玄先生の証言を得て、韓国人の習俗上相容れないから合祀を取り消せという判決を勝ち取りたい」「敗訴するのではないかと思うが今後はどうするか」「日韓協定解決済み論を打ち破るのは難しいが、この間日韓会談の文書公開を通じて日本政府の不当性が明らかになってきている。慰安婦、靖国、シベリア抑留までが日韓協定で解決済みと言う主張は不当。この裁判は問題を提起したことに意義があり、日韓両国民で闘っていかないと打ち破れない。金景錫さんが100年裁判だと言っていたのを思い出す。長期に構え闘っていきたい」「結局は日本政府対韓国政府という話になるのではないか」といった質疑応答を通じて率直な交流ができた。

 この後、春川タッカルビの店へ。食前に洪会長に「古川さん一緒に行こう」と誘われ、車に乗ると、すぐ近くの花屋さんへ。なんとそこは洪さんが開店した花屋さんだった。こじんまりしていて、きれいな店だった。「古川さん、そこ私のアパート」と指差した場所にはよくある韓国の集合住宅が。金景錫さんが眠っている場所の本当に近くに住居と仕事場を構えたという洪さんの金景錫さんに対する愛情がすごく伝わってきた。

 

林西云さんの娘さん(左)

 

 その後ソウルに戻って、原告集会の打ち合わせを行った。これまでの裁判経過がわかりやすいようにとパワーポイントで準備していた。報告集もいつもながら準備が短時間だったにも関わらず立派な分厚いものが製本されていた。この原告集会にかける李熙子さんの思いが伝わってきた。

 打ち合わせの最中に林西云さんの娘さんが事務所に来られたが、娘さんの表情には笑顔がなかった。口を開くと「母のこと、無念な死を考えると引き継ぐことが重要であると思うが、悲しみも残っていて、私の体調も悪く、受け継ぐのはしんどい」とのこと。この言葉を伝えるために今日来たという感じだっただけに、大口弁護士も「自主的に決められるべきで、残念ですが仕方ありません」と答えた。別れた後、李熙子さんから「時間をおいてからもう一度話し合ってみる」との提案を受け、とりあえず判決が近いので、林西云さんだけを別立てで判決を出してもらうことができるかの検討を大口弁護士にしてもらうことになった。

5月18日(月)

 
 

崔ウルチュルさん(右)

 
 

李熙子さんと金敏浮ウん

 西大門にある東アジア歴史財団の会議室が原告集会の会場。ソウル駅から伸びる国鉄の線路の脇に立つ立派な高層ビルだった。早く着いたので待っていると、続々と懐かしい顔ぶれが。まず金ヘンジンさん。続いて女性陣。高齢の崔ウルチュルさんも。そしてシベリア朔風会のメンバーが続々と入室。2001年の提訴から8年たつので、それぞれ年はとったがお元気そうで何より。

 いよいよ金敏普iキムミンチョル)さんの司会で開会。通訳は董ソンヒさん。パワーポイントで李熙子さんが提訴準備から今日に至る歩みを振り返る。原告の皆さんは懐かしい写真が出てくると笑いながら報告を聞いていた。大口弁護士から「裁判の経過報告」を行い、その後矢野さんから「GUNGUN裁判の意義」を報告した。次は原告からの質問と思っていると、国会議員の李ジュンヒ(女性)議員が来られたということで、急遽休憩中に議員との交流会が隣の会議室で設定された。大口弁護士から「遺骨・生死確認・靖国は日韓協定外の問題なので韓国政府として対応するようにお願いしたい」ことを。御園生さんからBC級戦犯、シベリア抑留者の問題解決を。私から遺骨がいまだに南洋に放置されその1%は韓国朝鮮人のものであることを伝え、韓国政府を動かすために尽力いただきたいとお願いした。李ジュンヒ議員は「植民地支配から100年解決できなかったことだけに必ず整理されなければいけない」と述べ、今後の努力を表明していただいた。

 

金幸珍さんと李炳柱さん

 
 

 この会議室に李炳柱会長が入ってきて、歓喜の握手!その後集会を再開。李炳柱さんがマイクを握り、「麻生太郎のような朝鮮人を差別した人が総理になっている。今度の日本の選挙で民主党が勝ち、政権交代を望む」と発言された。その後私から提訴したころの苦労話に触れながら、遺骨問題の課題について提起し、山本さん(ノーハプサ事務局長)が靖国訴訟、御園生さんがシベリア抑留での日本政府の対応批判と日韓での公正判決要請ハガキ運動について報告した。会場の時間の関係で、ここで集会が終わってしまい、私は飛行機の時間があり、ここで会場を後にした。

 今回の報告集会には、原告が34名参加された。提訴の頃の集会参加者からすると少なくなった感じもするが、高齢化を考えると多く集まっていただいたと思う。原告の方々の「笑顔」に何とか応えたい。そう強く思った訪韓だった。





 

10月第一週・春川納骨堂の石塔再建ツアーに参加しませんか?

 訪韓報告の中にあるとおり、2005年に馬耳山のお坊さんと築いた石塔が崩れています。毎年恒例の「納骨堂草刈りボランティアツアー」を、今年は「石塔再建ツアー」と位置づけて、取り組みたいと思います。日程は10月第一週(2〜5)の予定です。詳細が決まり次第お知らせしますので、日程をあけておいてください。

 

ノー!ハプサ第11回口頭弁論報告(山本)

「外交保護権のみを放棄」(昔)
「放棄されたのは請求権そのもの」(今)

日韓請求権協定の解釈を勝手に変更した日本政府の無責任さを追及!

 
 

報告集会

 7月3日、午前11時から東京地裁でノー!ハプサ訴訟の第11回口頭弁論が行われました。原告側は被告国の「1965年の日韓請求権協定ですべて解決済み」との準備書面3に対する反論を原告準備書面18として提出しました。原告代理人を代表して大口昭彦弁護士が趣旨を説明。「日本政府はかつては国会や法廷において、日韓請求権協定第2条3項は外交保護権放棄にすぎず、個人の請求権まで消滅させたものではないと公式に説明していた。しかし、近年は請求権そのものが放棄されたと主張を変更している」と批判。「靖国神社の合祀を取り消してほしいという魂の解放の問題まで請求権協定で消滅させることはできない」と被告国を追及しました。

法廷で合祀の真実を明らかに

 

浅野弁護士

 

 また、被告国・靖国神社が新編靖国神社問題資料集所収の資料の都合の良い部分だけを取り出して、「合祀は靖国がやっている」「一般的な行政サービス」と言い逃れをしていることについて、今回は国の第4準備書面に対する反論を準備書面19として提出(一部訂正箇所があるため、後日再提出となった)。原告代理人を代表して浅野史生弁護士が趣旨を説明。特に国の方法が、「極一部の資料の存在を以て、全体の性格規定を行うというものであり、100%完全に白髪であるというのではないが、圧倒的に白髪である人に、たまたま1〜2本黒い毛があったことを以て、その人の頭は黒い、というようなものである」分かりやすい事例をあげて追及しました。次回以降には靖国側の新資料集の評価に対する批判へ進む予定です。

 
第12回口頭弁論
 10月15日(木) 11時〜 東京地裁103号法廷

第13回口頭弁論
 12月24日(木) 11時〜 東京地裁103号法廷


※いずれも、終了後弁護士会館で報告集会を予定しています。
 

「靖国合祀イヤです訴訟」控訴審始まる(古川)

 7月10日、大阪高裁で「靖国合祀イヤです訴訟」の控訴審の第1回口頭弁論が行われました。一審判決(2月26日)は、GUNGUN一審同様、国と靖国神社の結びつきを「一般的な行政サービス」と事実に背を向け、事案も主張も異なる山口自衛官合祀拒否訴訟の最高裁判決を無批判になぞっただけの、権力に全面屈服した判決でした。この日久しぶりの口頭弁論とあって、大阪高裁には多くの傍聴者が駆けつけました。(半分は靖国応援団!)そこで一番最初に顔を合わせたのが古川佳子さんと娘さんでした。
 古川佳子さんからは判決後の3月にお手紙をいただいていました。そこには「ノーハプサ」のニュースを読んでの感想が書かれていました。一部引用させていただきます。

 
 

古川佳子さん

 「ノーハプサ!10号を読んで、裁判の途中で悲痛のうちに急逝された林西云さんを悼む雅基さんの記事。李熙子さんのヤスクニのタテマエが根こそぎ引っ剥がされるような意見陳述。靖国神社への求釈明。キムチづくり。GUNGUN結審。弁護団の訪韓調査、若い井堀弁護士の率直さ。辻子さんの「イヤです・・」報告など。全部読んで胸にじんじん響くものがありました。日本人相手ではない、韓国の人を相手に極限に立たされた司法は、靖国は、日本国は、どのように応えるのでしょうか。このように今も植民地支配を続けている奴らに、私ももっともっと怒らなければいけないのだと思います。イ・ヒジャさんは日本へ90回もおいでになっているのですね。雅基さんたち多くの支援があってこそと、私も感謝の思いで一杯です。私も動ける間はガンバリます。ヒジャさんの「恨」と「怒り」の前に、私は身が竦みます。日本人であることの恥ずかしさ、申し訳なさに。」と。いつもご自身の自己紹介で、李熙子さんの思いに接して「イヤです訴訟」に立ち上がったと言われる古川佳子さんの気持ちが伝わって、ジーンときました。

 

イヤです訴訟の原告のみなさん

 

 この日は、原告側から準備書面を提出。第1章で「判決はここがおかしい」と印象付け、第2で4つの点で判決を具体的に批判。中でも印象的だったのは、「靖国神社合祀は控訴人らにとって名指しの「呪い」に他ならない」と主張した点。加島弁護士から「靖国合祀がイヤな人にとっては五寸釘を打たれて呪われているのと同じ。呪われているのを知ったからには原因の除去を要求するのは当然のこと」「一審では言えなかったことを盛り込んだ」と説明を受け、わかりやすい主張に拍手を送りました。
 最後に原告から決意表明が行われ、古川佳子さんが「被侵害利益の立証として一番注目される死者(二人の兄)の思いはどうだったのだろうかという点を考えている」と発言されたのが印象的でした。靖国神社という宗教の道具にされている死者がもし生きていれば何を訴えるだろうか。それをどう立証するか。今後も応援し、ともに闘う決意を新たにした第1回口頭弁論でした。
第2回口頭弁論は、10月28日(水)13時30分です。
 

2009夏 東アジアからヤスクニを見る
今年は 弁護士会館・上野水上音楽堂を中心に!キャンドル行動

 

昨年のキャンドル行動

 
 

 
 

 2006年を出発点とした「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動は、今年は8月7日(金)日本弁護士会館、8日(土)上野水上音楽堂を中心に行われます。

今年のテーマは、「東アジアからヤスクニを見る」

 首相のヤスクニ参拝があろうとなかろうと、私たちの側から積極的にヤスクニ問題を焦点化し、世界のなかで「非常識」極まるヤスクニ問題を大きくクローズアップしようとするものです。
 韓国・台湾など旧植民地出身者などを厚顔無恥にも無断合祀し、今なお「天皇のために命を捧げた英霊」として合祀しています。また、沖縄では、0歳から5歳までの乳幼児まで「戦闘協力者」として合祀。その実体は、日本軍による壕からの追い出しを「軍に場所を提供した」協力者とするなどの詐術を用いて合祀しているのです。それは、グングン裁判でもある生存者の合祀など含め、靖国合祀がいかにでたらめであるかを示しています。

今年の皮切りは、ヤスクニ映画祭

 戦中に制作された「靖国神社」(1939年)「学徒出陣」(1943年)を初めとして、反ヤスクニ行動の中で制作された「あんにょんサヨナラ」「出草之歌」、そして、本邦初公開の「生命之歌」(台湾)が一日目に、話題となった映画「靖国」が二日目に上映されます。皆さん、「あんにょんサヨナラ」で戦中の靖国神社のフィルムを見てショックを受けた方も多くいると思います。それが靖国神社の本当の姿なのです。

7日は国際シンポ、8日は東アジア結ぶコンサート

 シンポジウムでは、韓国から無断合祀、沖縄からは幼児の合祀、台湾からは原住民合祀、さらに、ドイツでの追悼について報告され、興味深いシンポジウムとなります。
 上野水上音楽堂で行われる証言&コンサートは、皆に元気を吹き込む取組みが準備されています。台湾からは50名の「飛魚雲豹音楽工団」が出演。パワフルな演奏・踊りを披露してくれます。韓国からは昨年出演していただいたソン・ビョンフィさん、クォン・ヘヒョさんが。日本からも昨年に続く寿(ことぶき)に加え、今年は新たに生田卍(まんじ)が出演。昨年ソウルの世界NGO大会に出演した月桃の花歌舞団も初登場!
 コンサート終了後、会場からキャンドルデモを皆で行いますう。キャンドルを持ってヤスクニの闇を照らし出そう!暑さを吹き飛ばそう!
 

 読書案内

 『これに増す悲しきことの何かあらん』

   
   

          田中伸尚 著  七つ森書館 1800円+税

「これに増す 悲しきことの何かあらん 亡き子二人を 返せこの手に」
靖国合祀イヤです訴訟原告・古川佳子さんのお母さんが息子二人を戦争に奪われ、その悲しみと天皇の戦争責任追及の中で詠んだ句である。訴訟原告の陳述を中心に、「靖国合祀拒否・大阪判決の射程」高橋哲哉さんとの対論など、靖国合祀拒否訴訟に携わる人必読の書である。(古川)
 

GUNGUNインフォメーション

7月21日(火) 沖縄「靖国合祀ガッティンナラン」訴訟第7回口頭弁論
            16時(那覇地裁) 第8回は10月6日(火)13時
7月23日(木) 捕虜の待遇・権利を定めたジュネーブ条約記念の集い
            14時記念シンポジウム 16時レセプション
                憲政記念館第2会議室(地下鉄「永田町」徒歩5分)
7月24日(金)25日(土) 第22回政教分離訴訟全国交流集会
   24日 14時 弁護団交流会
       18時シンポジウム「靖国合祀取消訴訟の到達点と課題」
          基調講演「アジアから見た靖国問題」(李錫兌弁護士)
7月25日(土)26日(日) 強制動員真相究明全国研究集会
                  −「名簿」「供託金」問題と中心として−
                 神戸学生青年センター(阪急六甲駅3分、JR六甲道駅10分)
   25日 14時 名簿問題 15時 遺骨問題 18時半交流会
   26日 9時半 供託金問題 12時 浮島丸 13時半 全体会
7月25日(土)26日(日) 平和の灯を!ヤスクニの闇へ プレ企画映画祭
   25日13時〜 「靖国神社」「学徒出陣」「出草之歌」「あんにょんサヨナラ」「生命之歌」
   26日13時半〜 トーク 「靖国」
7月30日(木) 日韓市民平和フォーラム 14時 
             麻布台セミナーハウス(地下鉄日比谷線神谷町駅5分)
           基調報告:伊藤成彦(中央大学名誉教授)李長煕(韓国外国語大学法学部長)
8月1日(土)2日(日) 2009ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)
   2日9時 分野別討議「国際連帯でノーハプサ(合祀)」鶴見会館(JR京浜東北線鶴見駅)
8月7日(金) 平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動〜東アジアから見たヤスクニ 
           18時半 国際シンポジウム(日本弁護士会館クレオ) 
   8日(土) 14時 証言&コンサート(上野公園水上音楽堂) 終了後キャンドルウォーク
8月15日(土) 靖国祭神簿から家族の名前を取り戻せ−祭神簿削除請求訴訟の現状と課題−
            講師:大口昭彦氏 14時韓国YMCAアジア青少年センター地下ホール
9月1日(火) 日韓会談文書公開三次訴訟第4回口頭弁論 10:45東京地裁522号法廷
10月3〜5日(予定) GUNGUN納骨堂草刈りボランティアツアー
10月28日(水) 大阪・靖国合祀イヤです訴訟第2回口頭弁論 13時30分大阪高裁