在韓軍人軍属裁判を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.49 (2008.6.28発行)



不当な最高裁判決から20年。山口県護国神社に「夫の合祀を取り消して」と要請する中谷康さん(右から2人目・6月2日)

 

「敬愛追慕」への国家の割り込みを許さない
                                      〜合祀NOの思いはアジアをむすぶ〜

 一主婦の中谷康子さんが、72年に起こした「合祀取り消し」訴訟の最高裁判決から20年。6月1日山口県で「第20回抗議集会」が開かれ、山口県護国神社への「合祀取り消し」要請行動も取り組まれました。個人の肉親に対する「敬愛追慕の情」の中に土足で割り込む国家の行為「合祀」に対する闘いは今、韓国・台湾・沖縄・日本全国に広がっています。
 沖縄住民が靖国神社と国を相手取った「合祀取り消し」訴訟(靖国合祀ガッテイナラン訴訟)の第1回口頭弁論が6月17日開かれました。崎原盛秀さんは「母は日本軍によって壕を追い出され砲弾の餌食になった。その母がどうして戦闘協力者にすり替えられているのか」と主張。被害者である住民に対し、戦後「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の恩恵とセットで行われた「靖国合祀」。0歳や2歳の子どもまでが合祀されているカラクリがここにあります。被害者が加害者と一緒に戦争の功労者として「顕彰」されている構図は、韓国・台湾と同じです。常に次の戦争準備のために個人が国家に利用されてきた「合祀」の歴史をしっかり踏まえ、ともに闘っていきましょう。

 GUNGUN裁判は弁論準備が続き、7月16日も非公開で行われます。口頭弁論再開までもうしばらくお待ちください。
 

合祀の被侵害利益・人格権侵害で証人尋問も視野に!
もう一回、7月16日弁論準備(非公開)が入りました。
ノー!ハプサ(合祀)ともに、皆さんのご支援を!


 6月4日午後11時から、GUNGUN裁判控訴審の第5回弁論準備が、東京高裁第2部で開催されました。今回の弁論準備では、裁判所から双方の主張を整理した「主張要旨」が出され、裁判所は証人申請も含めて言及しました。そして7月16日にもう一度弁論準備(非公開)が行わることになりました。

靖国合祀の証人申請まで言及した東京高裁

 この弁論準備に先立ち裁判所から、双方の主張をまとめた<主張要旨>が明らかにされました。
 内容は、
1 靖国合祀に係る戦没者通知撤回請求及び合祀につ   
いての損害賠償請求
2 遺骨返還請求及び死亡状況説明請求
3 徴兵・徴用及び戦地配備、戦闘行為、労働の強制
  についての損害賠償請求
4 徴兵・徴用その他戦争に関連する死亡、傷害につ 
  いての損害賠償請求
5 給与等の未払い金の支払請求及び未払金に係る損
  害賠償請求
6 BC級戦犯に係る損害賠償請求
7 シベリア抑留期間中の未払賃金及び損害賠償請求
8 軍事郵便貯金に係る損害賠償請求
9 謝罪文の交付及び謝罪広告請求
10 日韓請求権協定等について
11 国家無答責について
12 不法行為債権の行使に関する期間制限について、
というもので32ページ(+控訴人請求一覧7ページ)にわたるものです。
 上記を踏まえ、裁判所から、双方に、上記<主張要旨>に意見があれば、次回弁論準備までに書面を提出するよう、そして、被侵害利益に係る証拠調べ(人証)申請をするよう話がありました。
 
国・靖国一体合祀・合祀による被侵害利益

 争点は、靖国合祀を国、靖国神社が一体となって行っており、それが韓国人遺族に耐え難い侵害を及ぼしているということにあります。
 控訴審の始まる段階では、実質審理抜きで結審の可能性もあると危惧していましたが、現在、証人申請を視野に入れるまでに前進しています。
 弁護団では、最終的な主張と証人申請のために全力をあげています。
 すでに、日本の学者証人として、高橋哲哉東大教授、韓国の学者・研究者証人として、李弼泳(イ・ピリヨン)シャーマニズム協会会長、周剛玄(チュ・グワニョンン)韓国民族問題所所長、金承台(キム・スンテ)韓国キリスト教歴史研究所室長、日本の遺族として岩淵宣輝・太平洋戦史館館長らを申請しています。加えて、特に必要な証人を申請する予定です。

 再開される口頭弁論には、是非、皆様の傍聴が必要です。7月28日(月)午前11時〜(集合10時30分)のノーハプサ第6回口頭弁論とともに傍聴をよろしくお願いします。
 

ノー!ハプサ訴訟第5回口頭弁論報告 (中里)

   
 
 

イ・ヒジャさん

 前回の裁判における『生きていた英霊』=生存合祀者の金希鐘(キム・ヒジョン)さんの迫力ある意見陳述がまだ心に強く残る中、第5回口頭弁論が開かれました。原告として李熙子(イ・ヒジャ)さんが来日され、いつもながらの凛とした姿で法廷に参加されました。傍聴抽選にこそならなかったものの大法廷がほぼ満席になりました。(靖国側も確実に動員をかけている!)
 
 今回の裁判では、靖国神社側が【だれを合祀して祭祀するかということは、宗教団体である靖国神社の宗教上の教義の問題であるから、裁判で争うことはできない】という門前払いを求めていることに対して、【本件は、合祀を望まない原告らが、勝手に合祀した靖国神社の責任を問い、合祀の絶止・謝罪を要求するものであり宗教上の教義の当否・正邪を問うものではない。靖国神社対一般市民の争いであり、裁判として当然成り立つ】と、徹底した反論が行われました。当然のことながら裁判所は、靖国神社に対して、これに対する反論・回答を求めました。今後靖国神社はいったいどのような回答をするつもりなのでしょうか?

   
 

報告集会

 

 また、裁判所は原告側に対して被侵害利益(どんな被害を受けたのか)について踏み込んだ主張
を出すように言ってきました。これについては、裁判後の報告集会でヒジャさんが怒りを込めて次のように話されました。「この訴訟を起こし、皆さんに支援してもらっているのは大変うれしいが、日本に来るたびに心が重いのです。亡くなった人は語ることができません。だから原告は闘い、答えを求めているのです。靖国は宗教を掲げて逃げてばかりいる。私たちは宗教を問題にしているのではない。名前を消してほしいだけなのです。天皇のために戦い、日本の神として祀られていることが侵害なのです。靖国を相手に訴訟を起こさねばならないことこそが侵害なのです。」と。靖国神社が死者をつかってやっていることに対して、司法が原告の主張に率直に応えた判断を出すまで共に歩んでいきたいと思います。

 

次回ノーハプサ第6回口頭弁論

7月28日(月) 午前11時〜 
東京地裁103号法廷
(傍聴券抽選のため、10時半に裁判所前に集合)
終了後、弁護士会館で報告集会

 

予定 ノーハプサ原告・林西云(イム・ソウン)さんを迎えて
                ノーハプサ京都交流会
                7月26日(土)18時30分(京都ひとまち交流館)
 浮島丸遺族の林西云さんを交えて、終戦直後の浮島丸事件を振り返り、遺族に勝手に靖国合祀した理不尽さ、合祀取り消しのために闘う林西云さんの思いに触れます。
    ドキュメンタリー「60年の悲しみ」上映

 

9条世界会議
  シンポ「9条・ヤスクニ・歴史『和解』」に参加して (木村)

 
 

盛況だったブース

 5月4・5日と東京幕張メッセで「9条世界会議」が開かれました。到着すると全体会場の前は長蛇の列。一度Uターンした列が階段を上って会場入り口まで続く。「前日まで予想もしなかった。むしろ会場が埋まるのか心配していた」とのこと。スタッフはうれしい悲鳴を通り越して、会場に入れない人の対応を。会場内には立ち見も含めて12000名が入場、入れなかった人は3000人といいます。北海道から九州まで文字通り全国各地からの参加。あふれた人の流れはブース会場へ、おかげで「あんにょん ・サヨナラ」DVDなどの売上は過去最高記録となりました。
 
 2日目自主企画として映画「考えてみよう靖国問題」と「出草之歌ダイジェスト版」を上映。当日チケット売り切れの中、映画会場も立ち見の出る盛況ぶりでした。

 

会場満杯の参加者

 
 

パネラーのみなさん

 

 シンポジウム「9条・ヤスクニ・歴史『和解』」も会場満杯。たくさんの人しかも初めて靖国に関心を持った人も参加されている中で、いつもは真面目なスタッフからはギャグが出る雰囲気。まず、イ ・ソクテ弁護士から基調講演。ノー!ハプサ裁判には必ず来日されているが、たっぷり時間をかけてお話を聞くのは初めて。「平和憲法60年と過去史・治癒と和解のための前提条件」というテーマ。「日本と韓国、中国の間にある未だ解決していない過去の歴史には、白黒をはっきりさせることでわだかまりを残すのでは解決にならない。不幸な過去、未だ解決しておらず現在の問題として残っているこの痛みには治癒と和解が求められている。その前提条件として事実の認定がある。神社の文化は日本独自の文化であり、一方韓国には先祖を祀る祭祀チェサという文化がある。そして日本独自の文化を代表する神社は植民地時代には韓国の文化を抑圧する象徴的なもの。しかし今なお、靖国神社に2万人以上の韓国人の霊魂が合祀され神として祀られ、閉じ込められている。遺族たちはチェサを行えないでいる。韓国人遺族たちには、無念の死を遂げた故人の名と名誉を守る権利があり、その権利は尊重されるべき。戦争に強制的に動員し死の原因を与えた日本は当然そうすべき。にもかかわらず死んだ後までその魂を戦争と日本の護国の神として縛り故郷の遺族の元に返還していない」と穏やかな語り口調の中にも遺族の方々の 恨(ハン)をはらすという意思の籠った講演でした。

 パネルディスカッションでは、台湾原住民の立場から墨面さん、沖縄靖国訴訟から弁護団の丹羽雅雄さん、BC級裁判と賠償の問題を内海愛子さん、「靖国問題」と日本の安全保障について内田雅敏弁護士、東アジアの平和について徐勝さんから、韓国・台湾・沖縄・日本の4地域民衆が共に考え戦争動員システム=ヤスクニ問題に迫り、歴史『和解』のために何が必要か各パネラーより語られました。そして、一昨年東京でのヤスクニキャンドル行動、昨年ニューヨークキャンペーンに続き、今夏8月10日再び東京で「ヤスクニキャンドル行動」を成功させていこうと提起されました。
 

山口政教分離訴訟交流会の報告(古川)

 6月1日山口県で「第20回自衛官合祀拒否訴訟最高裁判決抗議集会・第21回政教分離訴訟全国交流会」が開かれました。大阪・沖縄の合祀拒否訴訟原告をはじめ、全国から100名が熱心に討議。ノーハプサの井堀哲弁護士・山本事務局長・辻子さんと一緒に参加してきました。

 

中谷さん

 

 「自衛官合祀拒否訴訟」(中谷訴訟)とは、一主婦の中谷康子さんが、72年自衛官だった夫の事故死の後、一方的に護国神社に合祀された事を「信教の自由を侵害された」と起こした訴訟で、地裁・高裁は勝訴しましたが、最高裁が「寛容であることを要請しており」と社会的弱者に寛容を求める不当判決を下したものです。

 小池健治弁護士の訴訟の歴史的意義の講演後、中谷康子さんへ若い学生がインタビュー。「中谷さんは芯が強いように見えるがどこで培われたのか」との質問に、「小学校1年の時に母親が死に、新しい母になじめず家を出たかった」と幼少の頃からの親との対立から家を出たかった思い。結婚によってそれを達成できた事がよくわかりました。その後中谷さんが再び家を出る際に父親から「親を捨てる子は仏も捨てる」とまで言われます。その父親は後に裁判で自衛隊側の証人として「息子は合祀されて喜んでいるはず」と証言。普通では考えにくい凄まじい家庭環境が窺えました。05年「あんにょん・サヨナラ」の撮影スタートの際、東京まで山口から駆けつけてくれた中谷さん。同じく箕面からの古川佳子さんと一緒に千鳥が淵戦没者墓苑に行った時、雪が深々と降っていました。古川さんが「兄の遺骨は帰ってこなくても魂はいつも私の胸の中にあるんです」と語った時、中谷さんはそっと私の耳元で、「私は夫の遺骨を枕元に置いてるの」と教えてくれました。夫を大切に思い、追い悼む中谷さんの思いに触れた瞬間でした。今回のインタビューを聞いて、実家から解放してくれた夫への思い=愛情と、二人の中に土足で割り込んできた国家=自衛隊への反発が一線上にあることが理解できました。

 集会では、「合祀イヤです訴訟」の康由美弁護士からレポートを受けて、各地の状況を交流。国・靖国神社側が中谷訴訟の最高裁判決を利用して主張しているが、@中谷訴訟の被侵害利益は「信教の自由」だが今回は「敬愛・追慕の念」。A援用部分は傍論に過ぎない点=中谷訴訟は合祀申請を請求原因にしているが今回は合祀そのもの。B通常最高裁では憲法判断だけだが、中谷訴訟では高裁までの事実認定を変更し結論を出している点で違法。という点が印象に残りました。

 
 

要請行動

 翌日の朝からは、山口県護国神社に「合祀取り消し」の要請行動に50名が参加。宮司が不在でしたが、前日の集会決議と全国から寄せられた2000人分の 署名を提出しました。「受領書を書け」「書けない」とのやり取りはありましたが、最後は「受領」させて2日目の交流集会が開始。

 沖縄からは金城実さんをはじめ3名が参加、靖国合祀取り消しを求めた「靖国合祀ガッテイナラン訴訟」の提訴の報告が印象的でした。軍隊と民間人が混在したために犠牲者が多く出た沖縄戦で、戦後「戦傷病者・戦没者遺族等援護法」の対象として救済を受けるために、例えば壕の中で食事を軍に提供したことで「軍属扱い」され、結果「靖国合祀」されている現状が報告されました。集会では、提訴の際に報道されたNHKの放送ビデオを見せてもらいましたが、短くよくまとめられている報道でした。
 

映画「靖国」を見てきました(大幸) 

 
   

 2週間たってもパイプ椅子を追加して、かつ立ち見も出るという状況にまず驚きました。
 8月15日に、靖国神社に集まる軍服姿の老人やラッパに合わせて軍隊式で行進する集団の姿が長く映され、時代錯誤というか復古主義という異質なものを感じました。神社内で行われる式典で 「君が代」が流れる中、それに抗議する若者が袋叩きにあって追い出されるシーンで、「中国人は帰れ」と何度も繰り返して青年を追い立てる男の姿は異常としか言えません。「靖国」を守る人の排外性が浮かび上がっていました。この映画を問題視した稲田議員の所属する「伝統と創造」の会は、「暴力と排外」の会としか思えません。また映画では戦争で身内を亡くした女性が、「遺骨の替わりに紙切れしか戻ってこなかった」と嘆きながら「でも小泉さんが参拝することはいいことよ」とケロリとして話す姿に、高橋哲哉さんのいう「感情の錬金術」を実感。高金素梅さんが「靖国神社」に「私たちは台湾人。魂は自分の故郷へ帰りたがっているのです。だから合祀をやめてください」という訴えが、多くの観客に届くといいなと願いながら、画面を見つめていました。
 

より多くの人に「あんにょん・サヨナラ」を!

 現在、「あんにょん・サヨナラ」上映委員会では、映画「靖国」を上映した映画館に「あんにょん・サヨナラ」の上映を働きかけています。現在4館から問い合わせが来ており、すでに神戸では小さいながらも映画館での上映が決まりました。会員の皆さんの地域でも自主上映していただけませんか?
 上映料金は一人300円・上映権つきDVDが4万円と値下げしています。(過去に上映権つきのDVDを購入していただいたところは当然自由に上映できます。)多くのブログに映画「靖国」と同じくらい「あんにょん」がよかったという書き込みもあります。この機会に一人でも多くの人に李熙子さんの「合祀NO!」の心を届けましょう。(上映案内はインフォメーション参照)
 

「2008平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動“ヤスクニ・戦争・貧困”」
8月10日中心に美術展・コンサート・証言・シンポ・キャンドルデモ等(日本教育会館)

 
 

2006年のキャンドル行動

 一昨年、明治公園を埋め尽くしたキャンドルで描かれた「YASUKUNI NO!」。 昨年はニューヨーク、ワシントン行動が展開されました。今年はヤスクニ問題をもっと広げるためにシンポジウム、被害者証言、平和コンサート、キャンドルデモ、そして1週間かけての美術展。「ヤスクニ・戦争・貧困」は、靖国問題が過去の問題でなく、グローバル資本が引き起こす戦争、貧困と密接に繋がっている極めて現在的な問題であることを示しています。美術展では韓国の美術家・洪成潭氏をはじめ日本の画家が出品します。またコンサートでは、韓国のアン ・チファンさんが登場! 皆さんの賛同をお願いします。

(賛同:1口1000円 郵便口座00140-3-446364ヤスクニキャンドル行動 内田雅敏)
http://peace-candle.org
 

外務省が日韓会談の文書を公開

 GUNGUN裁判も避けて通れない争点に「日韓請求権協定で解決」論があります。現在、日韓会談で何が話し合われたのかを明らかにさせるために、文書公開請求訴訟を起こしていますが、その過程で外務省は5月上旬、5万ページに及ぶ文書を公開しました。全面公開を求める会HPで見ることができます。  http://www7b.biglobe.ne.jp/~nikkan/

 

 
 一方、GUNGUN裁判での争点の一つ「朝鮮人BC級戦犯」に対する補償立法案が5月29日衆議院に提出されました。以下は、この問題が日韓会談でどう扱われたのか知るために原告になった李鶴来(イ・ハンネ)さんの集会発言です。(「全面公開を求める会」ニュースからご本人の同意を得て転載させていただきます。)


 

李鶴来さん(同進会会長)の集会発言

 私たちは1942年6月、朝鮮全土から三千数百人が日本軍に徴用されて、南方各地の捕虜収容所に配属になりました。日本軍の作戦計画の変更により、必要な軍用道路、飛行場、鉄道建設などに捕虜を使役していました。厳しい労働環境、食料、医療品の不足から伝染病が蔓延して、多くの捕虜が犠牲になりました。これらの問題が戦後連合軍側から捕虜を虐待したということで、軍事裁判によって私たちの仲間23名が処刑されました。1958年、有罪となった125名が、現地及び巣鴨プリズンで服役し、1956年には出獄。徴用されてから14年目でした。私たちは日本政府に謝罪と補償要求を半世紀以上もずっと続けてきました。(略)今、民主党が中心になって国会で審議をすすめています。大変有難いことと感謝しております。これからもこの運動は続き、まだ一年はかかる、決着はついておりません。   

 韓国政府は日韓文書の全面公開をしております。私たち当事者も公開を請求していますが、日本政府は頑強に拒んでいます。最近になって判ったことですが、韓国政府の公開文書で私たちの問題がほぼ判明している問題が幾つかあります。1952年2月4日の議事録を見ますと、韓国人戦犯問題について韓国側から「現在巣鳴刑務所に服役中の韓人戦犯者に対して、日本政府の方針がどうなのか」と問うと、日本側から「これは別個の問題だから、別途研究することだ」という答弁があったという内容です。これからすると日韓会談が終わって43年が過ぎています。この間、韓国からも日本からも何ら問題が提起されず、放棄している。こういった問題がありますので、日本政府にぜひ文書公開してもらって、こうした問題を一つ一つ究明して、この問題は一体日韓会談でどういうことになっていたんだということを克明に知りたい、当時者として徹底的に知りたいと、今度の原告の一人になっています。
 

 

ZENKOでノーハプサ運動分科会     
             「あんにょん・サヨナラ」も上映

 
 

昨年のZENKOのステージ


 「平和と民主主義をめざす全国交歓会」ZENKOが今年は京都で8月2・3日に開かれます。3日の9時から分野別討議「国際連帯でノーハプサ・靖国訴訟の勝利を」が開かれ、13時からメインの大谷会館ホールで「あんにょん・サヨナラ」が上映されます。ぜひご参加を!
 

 読書案内

 『靖国 知られざる占領下の攻防』   

 
   

      中村直文・NHK取材班 著
                 NHK出版 1700円+税  

 45年8月15日、日本は戦争に敗れ連合国による占領統治が始まった。靖国神社を管轄していた帝国陸海軍は解体され、軍関係の施設も次々に閉鎖されていった。既に43年の時点でアメリカ国務省は靖国神社を「軍国的神社」と見なし、その廃止を議論していたという。しかし今日まで、かつて軍の施設であった靖国神社は一宗教法人として存続。一体なぜか。GHQは国家神道を廃止する「神道指令」を発したが、他方で「信教の自由」を守るというジレンマに陥り、即座に靖国神社の廃止に踏み切れなかった。神社側でも廃止を逃れるために「靖国廟宮」として追悼施設にする案、境内に娯楽・文化施設を設ける案なども捻り出して軍国色を薄めようと防戦する。しかし52年の講和条約の頃、日米間の関係は一変。反共同盟国として歩むためにアメリカは日本国内からの猛反発が起こる事を恐れた。そして靖国は残った。戦後直後に密かに行われた合祀も、厚生省と靖国神社が一体となって公に実施を始めた。本書は05年8月放送のNHKスペシャル「靖国神社 占領下の知られざる攻防」の取材記録として昨年発行されたもの。知られていない史実が多く掘り起こされている。(塚本)
 

GUNGUNインフォメーション

7月 5日(土) 秀作ドキュメンタリーを見る会 14時
           大阪・大東文化情報センター(JR「住道」駅すぐ)
           14時15分「証言記録〜未帰還兵の無念」
           15時「靖国神社・占領下の知られざる攻防」
7月16日(水) グングン控訴審弁論準備(非公開) 11時〜
7月26日(土) 京都ノーハプサ林西云さん交流会(京都市・ひとまち交流館)  18時(予定)
7月28日(月) ノー!ハプサ(合祀)第6回口頭弁論 103号法廷
           10時30分集合 11時〜 
8月2-3日(土/日)平和と民主主義をめざす全交in京都(メイン会場・京都大谷会館)
             ノー!ハプサ原告も招請予定、靖国合祀取消の討議もあります。
             http://www.zenko-peace.com
8月10日(日) 「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」
           午後1時30分〜午後8時
           日本教育会館ホール、美術展は同会館1F(一ツ橋画廊)
           第1部 鼎談(高橋哲哉東大教授ほか)
           第2部 戦争・植民地被害者の証言(李熙子氏ほか)
           第3部 平和コンサート(アンチファンほか) 終了後、キャンドルデモの予定
           8月4日(月)〜10日(日)まで 美術展「アートで表現するYASUKUNI」
             http://peace-candle.org
8月19日(火) 靖国合祀ガッティンナラン訴訟(那覇地裁) 11時
9月 4日(木) 合祀いやです訴訟 大阪地裁202号法廷(2回目の証人尋問)  11時

あんにょん・サヨナラ上映

7月19日(土) 大阪・大東文化情報センター(JR学研線「住道」駅すぐ)  @11時・A14時
8月 3日(日) 京都大谷会館ホール(平和と民主主義をめざす全交in京都)  13時
8月 9日(土) 日本教育会館(平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動)  11時
8月28日〜9月2日 神戸映画資料館(神戸・新長田アスタくにづか1番館:JR新長田駅すぐ)
             28日(木)1日(月)・2日(火)15時半 / 18時半
             29日(金)・30(土)18時半
             31日(日)13時 / 15時トーク(無料)/ 16時15分
             http://www.kobe-eiga.net/