在韓軍人軍属裁判を支援する会ニュースレター

「未来への架け橋」 NO.41 (2006.11.23発行)

11月3日ソウルの日本大使館前で憲法9条改正反対・日本韓半島軍事化反対の日韓市民共同声明を読み上げる靖国キャンドル行動代表の李海学さん(左端)

 

   

教育基本法改悪の強行採決を許さない!
「新」靖国合祀取り消し訴訟にご支援を!


 与党は、教育基本法改悪案を11月16日衆議院本会議で強行採決しました。安倍首相は、「国が危機に瀕したときに命を捧げるという人がいなければ、この国は成り立っていかない」と述べ、一貫して「愛国心」をその第2条「教育の目標」に盛りこもうとしてきました。その狙いの次に来るものは何でしょうか。「命を捧げてくれた者」に対する感謝と顕彰、すなわち靖国の復権(国家護持)に違いありません。国家神道は宗教ではなく国民道徳だとして、キリスト教、仏教者を含め全ての国民に天皇崇拝を強制した戦前。その教典として使ったのが教育勅語と軍人勅諭でした。教育基本法改悪の狙いをアジアの人々とともに打ち砕かなくてはなりません。

 戦後、旧厚生省の手厚い協力の下、植民地出身者を創氏名のまま閉じ込める「合祀」を行った靖国神社を相手取って、GUNGUN原告による新たな「合祀取り消し要求訴訟」が起こされます。弁護団の編成も進み、12月8日には集会が開かれます。新たな闘いにご支援をよろしくお願いします。GUNGUN控訴審の準備も進行中です。
 

「遺骨=故人を偲び弔う権利を奪う行為」の不法性が認定(東京地裁)
グングン裁判控訴審勝利への展望を切り開こう!

 グングン裁判は、5月25日の不当判決後、ただちに控訴し、今多くの控訴原告の訴訟救助の手続きを行っています。このような戦後補償要求の裁判においてさえ、日本の裁判制度は訴状に事務費用として請求額に応じて印紙を貼らなければならず、グングン裁判ではその額は数百万円にのぼります。委任状等の翻訳や訴訟費用の免除、そのために時間がかかっています。なかなか始まらない控訴審審議に待ちくたびれている方も多いと思いますが、もう少しお待ちくださるようお願いします。
 しかしこの間、遺骨問題でグングン裁判にも大きく影響する新たな動きが二つありました。

   
 
 

韓国・春川での原告集会(6月)

 韓日協議で遺骨返還問題など前進
 
 
一つは、11月9日、「朝鮮半島出身旧軍人・軍属及び民間徴用者等の遺骨問題に関する第5回日韓協議」が東京で開催され、遺骨問題について積極的に解決することが合意されたことです。その内容は、@来年から韓国人戦死者の遺骨送還を実施する、A韓国人遺族にも戦死地訪問の旅行経費の支援をする(朝鮮日報)というものです。韓国の真相究明の取り組みを踏まえ、日本における連帯活動として取り組まれてきた真相究明活動の大きな成果にほかなりません。遺骨は、この間の調査等により1720体となっています。さらに、未だ未返還となっている日本人の遺骨を含め、国外を含めた積極的調査、また、今なお、徴兵徴用されながらその行方さえ分からない被害者の調査が必要不可欠です。

 9月26日遺骨問題で新たな判決「遺族には遺骨に関する権利」

 この事件は戦後補償問題でなく、東京における殺人時効事件での損害賠償請求訴訟での判決です。足立区の教員が殺され、犯人はその死体を自宅に隠し、時効後に犯人が名乗り出たという事件ですが、東京地裁は遺族の遺骨に関する権利を認め、遺族に330万円の支払いを命じました。
判決の中で注目すべき点は、故人を偲び弔う権利を奪う行為についてです。
「遺骨は本来遺族が故人を弔うために、遺族のもとに置かれべきでものであり、このため遺族には遺骨に対する権利が認められ、他人に対してその引渡しを求めることができるものである。したがって、故なく遺骨を自らの占有下において、遺族から故人を弔い、偲ぶ機会を奪う行為は、遺族が故人に対して有する敬愛・追慕の念を侵害し、精神的苦痛を与えるものとして、それ自体として不法行為を構成するものというべきものである」としているのです。

 不当な5・25判決を打ち破ろう!

 5・25グングン判決は「(日韓請求権協定当時、遺骨を)日本国又はその国民が保管していた場合には、その保管者に帰属し、これに伴い、死亡した者の家督相続人又は祭祀承継者は(遺骨の)所有権を喪失することになる」というのです。この論理によると、祐天寺の保管されている韓国人の遺骨の所有権は、遺族にはなく、日本国にあるということになります。また上記の判決論理とも真っ向から対立します。こんな誰にもおかしいととわかる判決が5・25判決でした。この理不尽極まりない不当判決を、控訴審で打ち破ろう!
 

いよいよ、韓国人・靖国合祀取消裁判が始動!
12・8「ヤスクニ合祀問題を考える−韓国人遺族とともに」にご参加を!
                                          
準備会 山本直好

   
 
   

 11月3日に、韓国人・靖国合祀取消裁判の第1回目の弁護団会議を開催しました。弁護団はまだ編成中でありますが、現在、大口弁護士をはじめ3名が確定しています。請求の趣旨については、先行する大阪での日本人、台湾人の合祀取消訴訟が土台となると考えていますが、遺族らの考えもありますので、12月に李煕子さんが来日された際に弁護士との会議を持ち、詳細を詰めることになりました。
 
 最大の争点は、「信教の自由」との関係です。大阪訴訟に出された靖国神社側の答弁書でも、法的な主張としては、自衛官合祀拒否訴訟(中谷訴訟)最高裁判決を全面に押しだし、「まさにこの判断が適用される場面なのである」と主張しています。
中谷訴訟最高裁判決は「宗教上の感情を被侵害利益として、直ちに損害賠償を請求し、又は差止めを請求するなどの法的救済を求めることができるとするならば、かえって相手方の信教の自由を妨げる結果となるに至ることは、見易いところである。信教の自由の保障は、何人も自己の信仰と相容れない信仰をもつ者の信仰に基づく行為に対して、それが強制や不利益性の付与を伴うことにより自己の信教の自由を妨害するものでない限り寛容であることを要請しているものというべきである。」といいます。キリスト教を信仰する中谷さんが、殉職した夫を無断で護国神社に合祀したことに異を唱えたことに対し、1審2審は原告勝訴としましたが、最高裁でまさかの逆転敗訴。最高裁判決は、靖国神社の無断合祀を意識して書かれたかのようです。

   
 
   

 靖国神社にも「祭る自由」があり、「信教の自由」を主張するなら靖国神社にも寛容であるべきというのです。しかし、遺族にも故人の祭祀を行う権利があり、まして、援護政策から国籍条項で一切排除されてきた旧植民地出身者を「信教の自由」一般の問題で片付けることは許されないと考えます。
 
 提訴の目標は来春とし、来年初めには弁護団の訪韓調査を行う予定です。弁護団も始動したということで、支援体制も構築しなければなりません。まずは、韓国人の靖国合祀問題を知ってもらうことから始めようと、李煕子さんの来日に合わせて、12月8日に「ヤスクニ合祀問題を考える−韓国人遺族とともに」を開催します。グングン裁判を支援してくださっている皆さん、「あんにょん・サヨナラ」を見てくださった皆さん、ぜひご参加ください。
 
◆ 日時:12月8日(金)         午後6時30分〜午後9時
◆ 場所:東京しごとセンター 第一セミナー室(JR、地下鉄「飯田橋」から徒歩5分)
◆ 韓国から 李熙子(イ・ヒジャ)さん 靖国合祀取消しを求める遺族
      金銀植(キム・ウンシク)さん 太平洋戦争被害者補償推進協事務局長
      イ・ソクテ弁護士 民主社会のための弁護士の会元会長
◆ 日本から 研究者、弁護士ほか


新訴訟の支援体制について
 新靖国訴訟については、GUNGUN裁判とは別の裁判・弁護団編成になることから、支援する会も別の組織にする見込みですが、当然連携を取りながら支援の輪を広げていきたいと考えています。 (事務局)
 

大阪で「合祀イヤです訴訟」第一回口頭弁論開かれる(木村)

 
 

原告の古川佳子さん

 10月24日、大阪地裁で「靖国合祀イヤです訴訟」の第一回裁判がありました。この裁判は、靖国に親族を合祀されている日本人・台湾人遺族が、靖国神社と国を相手に、合祀取り消しを請求する新しい訴訟です。意見陳述のため、原告の楊元煌さんが台湾から来られ、日本側からは古川佳子さんが意見陳述されました。

 傍聴券を手に入れるため、大急ぎで地裁まで駆けつけましたが、靖国側も券を取る為だけの人員(抽選が終わると券を渡しサッサと帰る)を集め、すでに大勢の人だかりでした。私はまたしてもハズレで、外で裁判が終わるのを待ちました。この裁判には「あんにょん・サヨナラ」にも出ていただいた中谷康子さんも山口を早朝発たれ参加されており、夜の集会までをご一緒することができました。大阪の町を歩きながら、「この裁判は楽しみですね」と語る中谷さん。毎日の畑仕事でつやつやされたお顔で笑いかけながら言われた言葉は、逞しく勇気百倍貰った気分でした。

 

墨面さん(左)と台湾原告の楊元煌さん

 

 夜の集会では、墨面氏より「霧社事件、その後」というテーマで講演がありました。朝鮮を殖民地支配した時と同様の土地取り上げと、それに続く原住民の虐殺。抵抗が激しいとみると原住民同士の争いを仕掛け“以夷制夷”。そして、神社参拝強要等の公民化政策の数々が語られた。楊元煌さんからは その後苦しい生活を強いられたこと。当時の神社が取り払われた後に記念碑が建てられたこと。その後の地震で崩れたものの、再びその場所に行政が記念館を建てる計画のあることが話されました。古川佳子さんの発言の中では、「死んだ兄達を利用して」という言葉が胸にひびきました。お兄様の無念お母様の無念の思いを引き継ぎ、原告として立たれたことに並々ならぬ決意を感じました。  

 
 

中谷さん(中央)

 さて、後日談ですが 中谷さんとご一緒させて貰ったのは私達にとっても有難いことであったのですが、わざわざお礼の手紙と畑で取れた野菜などの小包が送られてきました。お手紙には「この訴訟は、被告にはヤッカイですが、こちらも難問つづきで長引くことでしょう。原告、弁護団の方々、私たちも共に健康に気をつけて頑張りたいと思います。」「憲法改正、教育基本法改正などより、この訴訟の判決勝利が日本を“美しい国”へと導いてくれるでしょう。」とありました。共に祝杯が上げられる日まで頑張りたいと思います。

11月5日(日)大阪団結まつりで出店(大幸)

 
   

 グングン裁判を支援する会は、オミジャチャ(五味子茶)と朝鮮人参酒販売を売りながら、GUNGUNと「あんにょん・サヨナラ」の宣伝活動に取り組みました。オミジャとは、南天のような紅い実のことで、それを顆粒にしたものをお湯で溶かして飲むのですが、淡い酸味のさっぱりした味わいで大変好評でした。中には気に入ったといって、再度飲みに来てくれた方や、家でも飲みたいと顆粒の袋を買ってくださるかたもいて、完売することができました。
 テントの前には、金景錫さんの写真を展示し追悼のカンパ箱も置きました。不景気の中なかなか集まらないのではと思っていましたが、片付ける時にカンパ箱をのぞいて見ると千円札も入っていたことに感激。協力してくださった皆さんの善意を「春川遺族会」の再出発への激励カンパとして、贈りたいと思います。ありがとうございました。

 
 

新井さん

 まつりには、所用で東京から「あんにょん・サヨナラ」の上映会スタッフとして働きはじめた新井さんが来てくれたので、終了後に交流会をもちました。彼女が東京で関わっている「障害」者の日常を撮ったビデオ視聴を通して、「自立」を目指そうと懸命に生きる中での苦悩や問題点がよくわかるものでした。話し合いの中で「施設」では、行きたい時にトイレにも行けないことや女性が男性の看護士に入浴介助を受けているというひどい現実に驚かされました。「障害者自立支援法」が、「障害」者の自立を助けるどころか、夢や希望を阻む悪法である一端を知らされました。社会的「弱者」をますます追いこむ現実は、みんなで訴えていかなければ変わりませんよね。
 

朝鮮人BC級戦犯が韓国で被害認定!(11/12聯合ニュース)
               (この記事は真相究明ネット配信の韓国メディアの報道です)

 日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会は、12日太平洋戦争の時日本軍の捕虜監視員をしてB・C級戦犯に追いやられ、死刑や懲役刑に遭った朝鮮人148名のうち、被害申告を受理した86名に対する真相調査を経て、83名を被害者と認定することを決定したと発表した。真相糾明委は、残りの3名も、地方自治体の調査結果、特別な瑕疵がなければ被害者と認定する方針だと語った。

 
 

李鶴来さん

 
 

遺族の羅鐵雄さん(左)

 B・C級戦犯は、太平洋戦争が終わった直後、連合国主導の戦犯裁判で「平和に対する罪」で処罰されたA級戦犯(戦争主犯・指導者)を除いた将校及び下士官、兵士などの通常の戦犯を言う。真相糾明委は、B、C級戦犯の被害者の認定に関し、捕虜監視員として行った理由が、強制徴用を避けるための仕方のない選択であったにも関わらず、彼らは日本の戦争捕虜の虐待の責任まで負わされることによって、強制動員に続いて戦犯としての処罰という2重の苦痛を体験せねばならなかったので、被害者と認定したと説明した。

 真相糾明委の真相調査チーム長のイ・セイル博士は、「最近、英国の国家記録院から入手した朝鮮人捕虜監視員15名に対する『軍検察官記録』を分析した結果、明確な証拠なしに有罪の判決が下されたという事実も確認することができた」と語った。B・C級の朝鮮人戦犯148名のうちの23名が死刑に処せられ、このうち12名の遺族が被害申告をした。残りは、最小1年6カ月から無期刑までの宣告を受け、大部分は5年以上服役したとことが真相糾明委の調査分析の結果だ。真相糾明委の関係者は、「B・C級の朝鮮人戦犯の場合、日本の戦争責任の転嫁という行為に伴う被害者と見なしうる」とし、「ただし、日本軍将校や憲兵として服務するなど、自発的な同調者であることが明らかな場合まで、被害者と認定することは難しいだろう」と語った。実際にB・C級戦犯として死刑に遭った朝鮮人のうち、日本軍の中将を務めたA某氏の場合、真相糾明委に申告さえしていないことが確認された。
 

韓国国会で「動員被害者支援法」が審議入り
 
 9月26日付で閣議決定され国会に上程された「日帝強占下国外強制動員被害者等支援に関する法律」のその後について、韓国の金銀植さん(太平洋戦争被害者補償推進協議会事務局長)にインタビューしました。

 

金銀植さん(中央)

 

 国会に上程されて11月27日から審議入りされます。国会事務処→行政自治委員会→法制司法委員会→国会本会議という順序で審議されます。
 今回の法案では、被害者に2000万ウォンを支給する内容ですが、問題は未払い金・供託金への補償です。被害者の中にも賛成の世論も反対の世論もあります。元軍人軍属の場合供託金額が労働内容に比べて極端に低い場合があるので、調整が必要ではないかと考えます。国会議員に熱心に審議しようという意欲がないのも問題です。12月までの審議を経て、年末の本会議で一括法案通過が望ましいのですが、情勢的に不安定です。
 現在の法案は、被害者の不満も多く、問題点もあるのですが、審議過程で議論して、現政権下で通過させ、後に調整していくことが望ましいと考えます。
 

あんにょん・サヨナラ特集

11月3日大阪大学で
     「あんにょん・サヨナラ」上映と講演を開催しました!

       阪大で「あんにょん・サヨナラ」を上映する会 森河啓介さん(大阪大学法学部一回生)

 

大阪大学で講演

 

 今回の企画は、大学の前期に開講されていた講義「平和の探求」での授業の一環として、フィールドワークで、「あんにょん・サヨナラ」を映画館で鑑賞し、またそのときに、上映挨拶ということで、キムテイル監督と古川雅基さんのお話を聴いたことがきっかけでした。
「あんにょん・サヨナラ」の上映会と古川雅基さんによる講演会を行うにあたって、この企画が、靖国問題について考えなおし、また日本に住む人々と韓国に住む人々の関係を問い直す、一つのきっかけとなる場になれば、と思いながら準備をしてきましたが、あまり「日常」と「非日常」の境界を作るような肩肘張るような思いにならないように気をつけました。
 当日は多くの方に参加頂き、企画者として非常にうれしく感じたのと同時に、映画を再び鑑賞し、また古川さんの講演会を聴き、一人の学生として、これからも「問題」を考えていかなくてはならないということも強く感じました。私自身、この企画を一つのきっかけにしていきたいです。
 

 
   

映画「あんにょん・サヨナラ」ビデオ・DVD販売開始!

個人視聴用 5000円
上映権つき 5万円

 いよいよ「あんにょん・サヨナラ」のビデオが販売開始されます。
 これに伴い、自主上映については、上映権つきビデオを購入していただくことになります。
「5万円は出せないけど上映会はしたい」という方については引き続き上映委員会で相談に乗ります。気軽にお声かけください。

広がる自主上映。ぜひ身近なところで企画してください。

 
   

 劇場上映以降、日本全国の多くの団体に自主上映していただいています。大学や高校での上映も進んでいます。「日韓の友好について前向きに歴史認識をとらえ考える材料が少なかったところにこの映画に出会った」と上映会を取り組んでくださった先生もいました。今、韓国・中国を蔑視する、また歴史認識を歪曲する本が売れ、まちがった認識があたかも正しいことのようにインターネットにあふれ、若者に浸透しているこの時代に、ぜひこの映画を利用していただきたいと願っています。特に教育基本法が改悪され、憲法改悪も現実の問題として見えてきている今だからこそ、一つの考える材料にしていただきたいと思います。

上映スケジュール

 

 

善隣友好の証 朝鮮通信使の足跡を尋ねて
11月4日大正駅周辺フィールドワーク感想記(小川秀人 さん)

 

宮木謙吉さん

 


 朝鮮通信使? 正直、この年(57歳)になるまで聞いたことがなかった。スタート前JR大正駅で簡単な説明。案内役はFWコーディネーターの宮木謙吉さん。軽快でわかりやすい語り口と、何より持参して下さった、当時の風景や通信使を描いた絵で、たちまち江戸時代へとタイムスリップ。500人以上の大使節団と聞いて、またビックリ。1607年の第1回目から、300年の間に12回も行われたそうだ。見物人は数十万人。秋田や遠い地方にまで、通信使の人形が残っているという。

 
   

出発は大阪、木津川 河口

 川辺近くに「百済橋」の記念碑が建てられている。海には5隻の豪華船が到着し、ここらあたりで日本の船に移る。日本側の手厚いもてなしと歓待ぶりが、絵から十分に伝わってくる。秀吉以後、日本は朝鮮半島には悪いことばかりしてきたとの思いしかなかったが、こんな友好の歴史があったとは・・・。新鮮な驚きと喜びだった。

船に残った船乗り達にも友好のもてなし

 

「金漢重」の墓

 

 日韓相撲大会を企画したり、船乗りなど残った人たちとも様々な交流があったそうだ。印象に残ったのは、人権寺の別名がある竹林寺。病気で死んだ通信使「金漢重」の墓が世紀を超えて(あの戦争の時も)丁重に守られてきたことだった。しかも、死ぬ間際に残してきた子供を思いやる姿に、同じ年頃の日本の子供を枕元へよんであげたそうだ。死体は塩漬けにして、ふるさとへ帰された。そこには差別などかけらもない。朝鮮半島への、アジア諸国への差別意識は明治以降の「政策」によって「作り出された」ものと痛感したフィールドワークだった。
 最後に、今回、もう一つの目から鱗の話。通信使の行列を描いた当時の「北斎」の絵。正面に日本のシンボル富士山、そして、屋根の上には眠りネコ。「日光東照宮の正面にもこのネコが描かれている」と、宮木さん。「ネコは金を招くのではなく、平和のシンボルとして描かれている」我が家には、跳んだり、跳ねたりの平和の猫が3匹もいる。この話だけでも参加して良かった!!
 

 読書案内

 『靖国問題の原点』
     
土 修平著  日本評論社 1500円+税

 
   

 三土氏の靖国問題の切り口は異色だ。現在論争されている問題の原点は、靖国神社の設立前後にあり、決定づけたのは戦後の出発にあるという。日本近代化の中で生み出された国家神道という「宗教であって、宗教でないようなもの」の矛盾。靖国神社は、それ自体宗教である神社を他の宗教から分離し、他の宗教を天皇制国家の祭祀である「超宗教」=国家神道に従属させ、結果的には軍国主義的精神涵養のための政治施設になった。そして戦後、妥協的な占領政策の結末として、奇妙な「両棲的動物」のまま残された。現在の靖国問題を巡っての、政教分離、A級戦犯合祀、戦争のとらえ方等のテーマで、「謀略史観」(占領軍に押しつけられた)、「せっかく史観」(戦争の惨禍の上に戦後民主主義がある)の論点がかみ合わないのは、この根本的な矛盾によると。
 氏の論点整理は一理ある。しかし、靖国問題とは、現実の政治・外交・人々の感情を含む問題だ。論理的決着の困難さの指摘よりも、戦争被害者・遺族の追悼、日本の今後の近隣諸国との付き合い方等、もう一歩踏み込んだ提案が欲しい。(大釜)
 

全国から応援のメッセージありがとうございました
   (会員の皆さんのメッセージ本当にありがとうございます!元気が出ます。)
◇遺族会カンパ 少ないですが 年金生活ですので…つきなみですが頑張ってください。(大阪)
◆少額で申し訳ありません。余裕ができたらカンパします。(東京)
◇在日軍属傷痍者 差別を撤廃せよ。(滋賀)
◆2007年もがんばりましょう!!(東京)
◇辛うじて私達の存在が道義なき国を支え道義なき国は亡ぶ。全ての戦争被害をうやむやにしてはいけない。(国分寺)
◆未来へ架けると共に、国境を越えて結び合う闘いに希望があると思います。大阪での「靖国合祀イヤです訴訟」にサポーター参加させてもらっています。(大阪)
◇“あんにょん・サヨナラ”を観て“人として大切なこと”を大切にしなければいけないとあらためて思いました。(姫路)

GUNGUNインフォメーション
12月2日(土)3日(日) 日韓共同ミュージカル「希望の歌」(靖国をテーマに!)
 17:30開場 18:00開演
 2日:東京 北区滝野川会館(JR上中里徒歩7分)
 3日:大阪 高槻現代劇場(阪急高槻市・JR高槻徒歩5〜7分)
12月8日(金) 「ヤスク二合祀問題を考えるー韓国人遺族とともに」
 18:30 東京しごとセンター第1セミナー室
 韓国(李熙子氏、イ・ソクテ元民弁会長ほか)日本(研究者、弁護士)
 主催:韓国人・靖国合祀取消裁判を支援する会(準)
12月9日(土) 「イラク平和テレビ開局記念ーIFC(イラク自由会議)連帯集会」
 13:30 SKプラザ(東京清掃労組会館)(JR飯田橋徒歩5分)
12月10日(日) 「それでも問われる日本の過去清算」
 13:00 日本キリスト教会館(東西線「早稲田」徒歩10分)
 講演「東北アジア共生の展望と日本の過去清算」−荒井信一氏(戦争責任資料センター代表)
 主催:強制連行・企業責任追及裁判全国ネットワーク 
12月16日(土)日韓会談文書・全面公開を求める会「総会と講演の夕べ」
 18:00 総会 19:00 講演「文書公開が被害者たちに与えた影響とその後の動き」−崔鳳泰氏(弁護士)   
        東京しごとセンター5階第2セミナー室
12月26日(火) シベリア引揚終了50周年記念集会(舞鶴)
 12:30 海上追悼式 13:30〜「シベリア引揚終了50年・強制抑留を心に刻むフォーラム」(まいづるベイ・プラザ)
 呼びかけ・連絡先:シベリア立法推進会議ほか(F03-3237-0287)
※来年2月10日(東京)12日(大阪)李熙子さんのキムチ作り教室予定!(詳細は次号)
◆「あんにょん・サヨナラ」上映会 (上映スケジュールはこちら)