2008年8月1日〜3日

「父の魂が靖国閉じ込められている限り、チェサ(祭祀)ができない・・・
  
      第38回全交in京都にコ・インヒョンさんを迎えて 


 

コ・インヒョンさん舞台で(中央)

 

 

京都霊山護国神社

 
 

分科会で

 
 

パーティで歌うコ・インヒョンさん

 

 8月2、3日に開催された平和と民主主義をめざす全国交歓会(全交)第38回大会in京都にグングン裁判およびノー!ハプサ訴訟原告のコ・インヒョン(高仁衡)さんをお招きしました。
 お父さんはコ・インヒョンさんが生まれて7ヵ月後に徴用され、1944年9月3日に東部ニューギニアで戦病死し、靖国に合祀されています。戦後まもなく母と2人のお兄さんまで亡くされ孤児同然で生きてこられました。

 大会に先立つ8月1日、京都東山の山腹にある霊山護国神社にご案内しました。坂本龍馬と中岡慎太郎の墓があり明治維新の「志士」を祭る神社として発祥した場所ですが、その一角に「昭和の社」と銘打った慰霊碑が立ち並んでいます。アジア太平洋戦争の戦死者を部隊ごとに慰霊・顕彰する目的で11年前に完成したものです。なかには機関銃と鉄兜を飾っている碑も。「これらは侵略戦争の戦死者を賛美している碑で、靖国神社につながるものです」と説明すると黙ってうなずくコ・インヒョンさんでした。

 今回の来日のメインは8月3日の分野別討議「国際連帯でノー!ハプサ〜靖国訴訟の勝利を〜」での証言。「遺骨を放置したまま、魂だけを靖国に祀るというのはおかしい。日本政府は遺骨を収集し、すぐに遺族の元に帰るように実行しなければならない。そして魂が靖国から自由になれるようにしたい。私は父のチェサ(祭祀)をすることができないでいる。私の父の魂が靖国に閉じ込められているから、チェサをしても出てこれないと思っているからだ。チェサができないので、やむをえず父の誕生日にお祝いの行事をやっている。もし合祀が取り下げられれば父は靖国から出てこれる。魂を迎えてすぐにでもチェサをしようと思っている」と怒りをこめて証言されました。

 この分科会には沖縄の「靖国合祀ガッティンナラン」訴訟を支援する石原昌家さん(沖縄国際大学)と大阪の「靖国合祀イヤです訴訟」原告の古川佳子さんも参加。石原さんは「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の沖縄への適用拡大により0歳児までが靖国に合祀されている理不尽さを明らかにされました。古川さんは箕面忠魂碑訴訟の大阪地裁勝利判決から20年以上たった今、靖国神社を相手取りお兄さんの合祀取消を求めて立ち上がった気持ちを表明されました。お二人を前にしてコ・インヒョンさんは「韓国、沖縄、台湾、日本の合祀取消の運動が一つになって強くなればと思う」と訴えられました。

 コ・インヒョンさんは閉会集会で壇上に立ち、チェサができないでいる悲しみを証言したうえで、「私たちを助けてください。1990年に済州島で遺族会を発足し、20年活動し、たくさんのことを感じた。日本には心から支援してくれる人もいる。心からお礼を申し上げたい」とアピールされました。その後のフェアウエルパーティでは民謡を披露され、全交参加者との交流を深めることができました。(塚本)