第20回口頭弁論 2006年2月15日 東京地裁


2月15日(水)20回目の口頭弁論(最終)が開かれました。 

● 靖国合祀、シベリア抑留、日韓協定・法律144号問題を中心に最終準備書面

 原告より最終準備書面、甲906から926号証までの書証を提出しました。最終準備書面は、130頁を越え、靖国合祀、併合条約無効論、国家無答責、安全配慮義務、シベリア抑留、日韓請求権協定・法律144号、未払い給与・供託金、遺骨返還・死亡通知、軍事郵便貯金、謝罪広告等全面に渡るものです。
 靖国合祀問題では、まず、国・靖国神社が一体となって合祀を行ったこと、それは原告等の民族的人格権、思想良心の自由、宗教的人格権を侵害するものであり、同時に、憲法13条(個人の権利の尊重)、19条(思想及び良心の自由)、20条第1項(信教の自由)及び3項(政教分離)に違反していること、さらに個人情報の違法な漏洩であることも明らかにしました。
 シベリア抑留問題では、抑留中の賃金未払いは1949年ジュネーブ条約違反であり、捕虜の労賃は所属国・抑留国が連帯して支払わなければならないことは、太平洋戦争当時すでに国際的に確立されていた原則であること、49年ジュネーブ条約はその支払い方法を明確にしたものであることを明らかにしました。
 そして、日韓協定・法律144号問題では、日本の法律で韓国人の財産権を消滅させたこの法律は、憲法29条(財産権の保障)に違反するものであることを明確にしました。

● 怒りを込め、二人が最終意見陳述

 韓国からは70回目の来日となる李熙子(イ・ヒジャ)さんと、初めて陳述する朴壬善(パク・イムソン)さんが来日しました。

 
 

朴壬善さん

 最初に、朴壬善さんが意見陳述に。朴さんのお父さんは、朝鮮半島からはるか離れた赤道直下の島・ナウル島で44年12月11日戦病死。朴さんは「日本は戦争を起こして朝鮮の地を奪い、私の家庭を破壊しました。(中略)それなのに日本は反省どころかますます右傾化しており、また一つの戦争を謀るための準備をしています」「被害国と被害者の痛みを察して心から謝罪してほしい」と訴えました。
 続いて最後の意見陳述として李熙子さんは、「父は靖国神社の霊璽簿に父を死なせた首謀者と共に祭神として記載されています。これは一つの慰霊碑に殺人者と犠牲者の名を刻むようなもの」「霊璽簿に記載する行為は人間の行為。削除するのもまた人間の意志で可能なはずです」と合祀取消しを強く訴えました。
 法廷は最後に判決期日を決めて終わりました。判決は5月25日午前11時30分です。歴史的な判決にぜひ立ち会ってください!