靖国神社は韓国人無断合祀をただちに撤廃せよ!

 <靖国神社反対共同行動韓国委員会の声明>
 
 今日2月26日、韓国人11人が東京地方裁判所に靖国神社無断合祀撤廃を求める裁判を提訴した。今回の裁判は、合祀撤廃の要求で日本政府を相手取って提訴した訴訟で日本の司法が昨年5月の判決で「合祀したのは靖国神社」「日本政府が靖国神社に情報を提供したことは通常的な調査事務の一環」であるとして原告の請求を棄却した後に提起された訴訟である。

 靖国神社には14人のA級戦犯と240余万人の日本人のほか、約21,000余人の韓国人と28,000余人の台湾人が遺族の同意も求めないまま強制合祀されている。合祀を望まない日本と韓国、台湾の遺族は日本政府と靖国神社に合祀撤廃を要請してきた。

 一方、韓国の日帝強制下強制動員被害真相糾明委員会によると、靖国神社合祀者のうち61人は戦後生存して帰還しており、現在13人が生存していることが明らかになっている。靖国神社に無断に合祀された韓国の生存者と遺族は、当事者や遺族の同意もないまま侵略戦争の主謀者を昭和殉難者とあがめ侵略戦争をアジア解放戦争と歪曲宣伝している靖国神社に侵略戦争の犠牲者を日本国の軍神として祀っていることは民族的人格権を侵害する行為でありこれをただちに撤廃するよう要請した。

 しかし靖国神社は「一度合祀した以上取り下げることはできない」「当時、日本人として日本国のために犠牲になって死んだのなら靖国神社に祀られることを知って戦争に出向いたもので合祀は遺族の意思とは関係なく当然なことである」という主張をしている。また生存合祀者については祭神名簿に生存者という事実を追加記録して訂正したという欺瞞的なやり方で被害者を愚弄している。

 今回の訴訟は昨年8月に日本人と台湾人原告が合祀撤廃を求める裁判を大阪地方裁判所に提訴した後、韓国人だけを原告にして東京地方裁判所に提起される訴訟で、特に生存合祀者が初めて合祀取下げを要求する訴訟でもある。

 靖国神社の問題はいま韓日間、中日間の地域的な問題から国際的な争点として浮上している。現在、米下院で国際関係委員長を務めるトム・ラントス議員(民主)は「日本と周辺国との関係」をテーマに昨年9月に開かれた聴聞会で、A級戦犯が合祀されている靖国神社を小泉総理が参拝することは「まるでドイツでハインリッヒ・ヒトラー(ナチ親衛隊長)、ルドルフ・ヘス(ナチ副総統)、ヘルマン・ゲーリング(国家元帥)の墓に顕花すること」であると非難した。特にそれは当時次期総理が確実となっていた安倍晋三官房長官を視野に入れて戦犯に弔意を表すことは「道徳的破綻行為」であると指摘した。このような発言は日本の歴史歪曲や靖国問題に介入しないという方針を固守しているブッシュ行政部の立場とは対照をなすものである。

 世界各国は過去史を克服するために心からの反省と徹底した断絶を図っている。フランスのパポン元予算相はナチ協力事実が明らかになり97年87歳で法廷に立ち、98年「反人道主義犯罪」で懲役10年を宣告された。ジャック・シラク大統領が95に初めてユダヤ人虐殺に対するフランスの責任を認めた後のことである。疾患で仮釈放されるまでパポンは刑務所で人生の終盤を迎えることになった。

 ドイツ検察は2007年1月26日ナチ政権によるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を否認した嫌疑で起訴されたエルンスト・ツンデル(67)に対し懲役5年を求刑した。ドイツ憲法裁判所は2000年12月ホロコーストを否認した内容をインタビューで流布したオーストラリアの歴史家フレデリック・テーベンをドイツ内で処罰することは可能であると判決を出し、オーストリア裁判所は昨年2月ホロコーストを否認した嫌疑で起訴されたイギリス歴史学者デビッド・アービングに対して3年の懲役刑を宣告した。

 最近、韓国も過去の軍事独裁政権下で行われた司法殺人に対して再審により無効化する判決を出しており、これを一括して処理するための立法化論議が活発に交わされている。
過去の過ちに対する各国の努力に比べて、アメリカ議会で推進されている慰安婦決議案に対して客観的事実に基づかないものであると主張する麻生外相や、靖国神社参拝に対して曖昧な立場を取っている安倍総理の態度がいかに欺瞞的であり、この間の反省と謝罪の発言がなんの実践も伴わないレトリックに過ぎないということを如実に示している。
今回の裁判は被害者の人権を救済するための性格を持つと同時に、誤った歴史の再生産構造を食い止めるための審判である点から多くの人たちの関心と賛同を訴えたい。